「競合他社の幅が大いに広がるので、日本では魅力だったポイントや文化が、インドでもそうとは限らない。自社の魅力をどのように説明するのか、世界的な競合他社に負けない独自性をどうしたら理解してもらえるかが、非常に重要なポイントだ。一方、当社は多くの大学で他社に先駆けて採用活動を行うことができる『ドリームカンパニー』という称号を獲得している」と、同社のグローバルリクルーティンググループマネジャーである鈴木真津里氏は、難しいインドでの採用活動で戦っている自信をのぞかせる。
インド工科大学のように「Tier1」と言われる上位の大学では、就職課の力が非常に強く、企業側は大学に選ばれる立場だ。他に同称号を得ているのは米グーグルや米フェイスブックなどの世界の超大手である。
同社は現地事情に精通しているインド国籍の現場社員(エンジニア職)をリクルーターとして登用し、各大学の就職課や教授とも密なコミュニケーションをとりながら、他社よりよい就職条件を提示することで、ドリームカンパニーの称号を得ているのだ。
面接日に即決しなければならない
12月1日。この日は毎年、多くのインドの大学で一斉にキャンパスリクルーティングが実施される日。しかし、同社はこの時点で、他社より優位に立っていた。前日から採用活動を始める権利を持っていたからだ。就職課によって優秀な学生ほど最初に割り当てられる。そして企業は、1日で説明から試験、面接、内定までを、一気に行わなければならない。
インドのキャンパスリクルーティングでは、多くの大学で面接日(あるいは翌日)に内定を即決しなければいけない、というルールが存在する。トップクラスの中のトップ大学で採用するには、このルールに従わなくてはならない。
同社では面接官など候補者と直接かかわるポジションには、OB・OGやインド国籍の現場社員をあて、「彼らが学生の時に疑問に思っていたことや、インド国内企業ではなくグローバル企業ゆえの文化や慣行の違い」を、インド人の視点で理解しやすく正しく伝えるようにしたという。
「日本国内の総合職採用とは異なり、具体的な仕事の内容やキャリアパスなどを、きちんと明確に説明することが必須。その会社に入り、具体的にどんなステップアップができて、どのようなキャリアが築けるのかを、学生は聞いてくるので、まずはその点で興味を持ってもらうこと。その後に給与や待遇、入社手続きなどのサポートについても、きちんと説明できるよう準備をしていく必要がある」(鈴木氏)。
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