iPhoneの「天気アプリ」はなぜ当たりにくい? アプリによって予報が違うのにはワケがある

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契約しているクライアントについて少し補足しますと、民間気象会社は契約を結んだ企業に対し、「この日はイベントを決行してもよいか」「船の航路はどこがよいか」などを判断する材料としての、オーダーメイドの天気予報を提供しています。このクライアント向けの天気予報は外れると損害が発生するため、外すことが許されないかわりに、天気予報が当たったかどうかのフィードバックも必ずもらえます。これが、民間気象会社の強みといえます。

このような観測網の豊富さに加え、ウェザーニュースタッチのユーザーからは、今の天気がどうなのか、空はどのような様子なのかという投稿が1日約13万通も届きます。この投稿は「ウェザーニュースタッチ」の「周辺の空」「マップを見る」で確認できます。

「みんなで作る天気予報」の強み

一般のユーザーがウェザーニュースタッチの有料会員になり、一定数以上の実況を投稿したり、ウェザーニューズの主催するお天気セミナーに参加したりすると、観測機をもらえたり、天気予報の修正依頼を出したりすることもできます。たとえば、午後から雨が降るという予報が出ているのにもかかわらず、朝からレーダーでは観測できないような弱い雨が降り出してやみそうにない場合は、サポーターが天気予報の修正案を送れば、予報が修正されることもあるのです。

ユーザーからの天気の実況中継をプロットしたもの。予報では曇りであっても、実際に雨が降っていることもある(出典:ウェザーニュース)

この、サポーターが天気予報の修正案を送れるプロジェクトは開始からちょうど1年がたったのですが、1時間後の天気予報の的中率はプロジェクト開始前と比べて5ポイント近く上がり、90%近くになったそうです。「みんなで作る天気予報」の強みを感じさせますね。

私も実際に「ウェザーニュースタッチ」は使っていますが、天気予報の地点がかなり細かく、最寄り駅や近くの施設で登録できるのが便利だと感じています。また、近くの空がどうなっているのかも投稿写真やライブカメラですぐわかるので、傘を持ち歩くかどうかの参考にしています。

今回はウェザーニューズに取材させてもらいましたが、ウェザーニューズに限らず、日本の民間気象会社では、観測データの集め方や予測の仕方にそれぞれ独自の工夫がなされており、なるべく当たる天気予報を出そうと努力しています。皆さんもさまざまな天気アプリを見比べて、当たりやすいものや使いやすいものを選んでみてくださいね。

今井 明子 気象予報士・サイエンスライター

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いまい あきこ / Akiko Imai

2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けにわかりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。著書に『気象の図鑑』(共著、技術評論社)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。

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