林野庁の女性漫画家、今日も森の魅力を描く

自分らしく、好きなことを仕事にする方法

「県外から群馬の山奥まで、山の調査や手入れのために来てくださるサポーターの方もいらっしゃいました。せっかく来てくださった皆さんに『何もプレゼントがないのも寂しいなぁ』と思って、毎月、メンバーが集まる日にイラストつきレポートを配りました。すると、それを毎回楽しみにしてくださるようになったのです」

平田さんはプロジェクト参加者に喜んでもらいたい一心で絵を描いた。皆が「やってほしいこと」と自分が「やりたいこと」の両立を実践したのだ。

「定期的にリポートを作っているうちに、地元の観光協会に置いていただいたり『せっかくだからパンフレットも描いてみない?』というお誘いをいただいたりするようになっていきました」

やがて平田さんの描いた絵が周囲の目に留まり始めると、各方面から絵を描くチャンスが舞い込むようになっていった。

照れず、恥ずかしがらず、手を挙げ続けたら…

「照れずに、自分の作品をどんどん人前に出していったのがよかった」と振り返る平田さん

平田さんは森林官としての本業を全うしながら、ずっとやりたかった絵を描くことでもコツコツと実績を積み重ね続けた。その後、2人の子どもを出産。育児休暇を経て林野本庁の広報班に復帰することになる。

広報でも、平田さんは機会があれば恥ずかしがらずに自ら手を挙げ続けた。その結果、林野庁情報誌『林野-RINYA-』でまずお試しに鳥のイラストを描かせてもらえることになった。

すると、当時の広報チームから「じゃあ、もっとインパクトがあることをやってみようか」「次は平田さんの好きなことをやっていいよ」と言われ、「それなら、漫画なんてどうでしょうか?」と平田さんは提案した。それがきっかけで、悲願の漫画家としてデビューを果たすことができたのである。

平田さんは自分がやりたいことを仕事にしていった過程について、こう語る。

「絵を仕事として認めてもらえるようになったのは、実は広報室に入ってからです。それまではずっと趣味でやっていました。とにかく照れずに、自分の作品をどんどん人前に出していったのがよかったと思います」

どれだけ実力があっても、人に伝えないかぎり知ってもらえないし、仕事にできるはずがない。平田さんはやりたいことをやらせてもらえないと自己完結せずに、地道に「やりたいこと」を磨き、「できること」にして周囲に示していった。

「私は自分の絵を武器だと考えました。自分の腕を鈍らせたくないので、仕事になる前も毎日絵を描くようにしました。いつも自分の絵を持ち歩いて、機会あるごとに『あっ、ここでこの武器が使えるな』と思ったら、ためらわずに、これまで描いてきた絵を見てもらうようにしていました」

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