”こだわりすぎない”ベーグル屋の堅実戦略

「派手さはないけど、実がある」商売

『オリーブ』要素に憧れ

本当は本や映画がいちばん好きだけれど、人によって好みが異なるので、仕事にすると苦しくなりそうだと思い始めて、カフェを目指しました。飲食ならば老若男女問わずおいしいものはおいしいですから。自分の気持ちにウソをつかずに働けるし、『オリーブ』的な要素を詰め込むこともできる!と。20歳のころなので、夢見がちでした。

――就職活動をやめてカフェ経営者を目指す。確かに、夢見がちな20歳ですね……。

地元でフリーターをするのは大変そうなので、大学生になった妹と2人で名古屋で暮らし始めました。いくつかの店でバイトしましたが、今でも参考になっているのは「Feel at ease」というフルーツカフェです。マンゴーと浅利のパスタとかイチゴと帆立のサンドイッチなど斬新な組み合わせのメニューを提供していて、当時の名古屋では斬新なカフェでした。ホチキスやハサミなど店の備品もかわいいものをそろえていて、「細かいところも大事なんだな」と勉強になりましたね。

でも、私は手際もよくないし根性もないので、他人の店で働くと迷惑をかけるなあと感じていました。自分でいろいろ決められたほうがいい。地元の西尾市なら名古屋と比べてあまりおカネをかけずに出店できますしね。知り合いがギャラリーにしている蔵の一角や、足揉みマッサージ店だった場所を転々としましたが、大人がちゃんと食べていけるような規模の店ではありませんでした。

――小さなカフェでも初期費用はけっこうかかりますからね。

おカネを貯めようと思って、避けてきた自動車関係の会社で派遣OLとして働くことにしました。事務仕事なので体力的にも楽で時給1200円。残業代も出るし、有給休暇まである。みんなが会社員になる理由がわかった気がします。

2008年のリーマンショックで派遣切りに遭ってしまいましたが、少しはおカネが貯まったので、西尾駅前の建物に20席ほどのカフェを開くことができました。そのときに中古で業務用のオーブンを買ったので、「ベーグルも焼かないといけないかな」と思ったのがベーグルを始めたきっかけです。我ながら行き当たりばったりですね。

――3年半営業していた「CAFÉ KINO」ですよね。評判は聞いていたので一度伺ってみたかったのですが、昨年冬に閉店してしまいました。理由を伺っていいですか。

家賃を値上げされそうになったのがきっかけです。古い建物だったので「それはないよなあ」と。お客さんには恵まれていたので本当に申し訳なかったのですが、10年先を考えてみたら私たちは女だからずっとカフェスタイルを続けていくのは無理かもしれないとも考えました。妹か私のどちらかに子どもができて新たにスタッフを入れたらお店の雰囲気が変わってしまいます。

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