それは広報の協力無くしては有り得ない。復興支援関係については、前述の広報・安田が調整してくれることが多い。世の中、広報を仕事とする人は数多くいるが、安田の機動力たるや、ただごとではない。
たとえば、報道関係者向けに開いた復興弁当の試食会も、弁当でマスコミが本当に集まるのか?という不安があったが、あっと言う間に十数人の記者が集まった。ただ弁当を紹介するだけではなく、当時、経営陣刷新の直後で話題だった社長・宮坂、副社長・川邊と、記者の方が一緒にみんなでお弁当を食べるという企画を立て、またマスコミの方だけでなく、発信力のあるブロガーさんも集めてくれた。そのためマスメディア以外でも復興弁当は拡散されて話題になり、おかげさまで評判もよく、順調に販売数が伸びている。
ただそんな彼女でも、マスコミの対応は一筋縄ではいかないと言っている。なぜなら、記者さんたちが記事にしたいと思うこと、つまり世の中のニーズに合わせた話題をそう簡単には出せないからだ。
自分で言うのもなんだが「ヤフー」という名前はそこそこ知られている。でもそれだけで記事にはもちろんならない。いかに「記事にしてもらえる話題」を生み出すのか? それは熟練広報だけが知っているテクニックでも、「運」でもない。記者さんたちの心を動かす「熱い思い」だ。
僕ら復興支援室メンバーは、創設当初から東北に関する情報発信をすることを柱のひとつとして掲げているが、これがなかなかむずかしい。ヤフーが単に石巻のポータルサイトを作ったとしても、ホイホイ見に来てもらえるほど、世の中甘くはない。
マスコミ常連組は、何が違う?
一方で、ヤフー社内にはマスコミから何度も取材を依頼される常連たちがいる。彼らは、ほかの人と何が違うのだろうか。
たとえば、僕と“もじゃもじゃ”つながりで、弱冠36歳で執行役員兼CMOとなった村上臣。
話好きの彼は場の空気を読むのがうまいし、記者の質問の意図を正確に捉えて的確な回答を返すと聞いたことがある。ただ何よりも、CMO(チーフモバイルオフィサー)として、その分野にかける思いの強さがどの記事からもにじみ出ている。
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