日本型エリートが留学で得た、英語術の真髄 「発音が通じない!」大ショックの後に…

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鬼頭:アウトプットであるスピーキングとライティングは、どのように勉強されたんですか?

山口 真由(やまぐち まゆ)1983年札幌市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格、首席で卒業後の2006年に財務省に入省。2009年から2015年まで大手法律事務所で弁護士として勤務。2015年に米ハーバード大ロースクールに留学。テレビ出演、執筆などに幅広く活動している。

山口:スピーキングって練習のしようがないところがありません? TOEFLのスピーキングってその場でテーマを与えられて30秒マイクに向かって話すみたいな感じじゃないですか。問題の内容と回答形式も、私たち日本人には不慣れなものです。

私の時に出された問題は、「人生最後の日に何をするか」とか「結婚相手に求める条件」とかでした。これって日本語でも答えるの嫌じゃないですか(笑)。隣に違う人が試験を受けているという状況で、独り言のようにテーマについてつぶやいていくという経験を、われわれ日本人は慣れてきてないんですよ。あれを付け焼刃で何とかするというのは、そうとう難しいなと感じました。

鬼頭:確かに。今TOEFLってIBT形式になっているので、隣の人が始まる時間や科目が違ったりするんですよね? その中でマイクにつぶやくって恥ずかしい(笑)。

発音の難しさを、どう乗り越えたか

鬼頭:実際に現地に行ってから、ご自身の勉強したことって通じましたか?

山口:もともとスピーキングはできないと思って現地に行ったんですが、思っていた以上に私の言っていることが通じなかったですね。単語自体の意味も読み方もわかっているのに、実際に発音すると誰もわかってくれないという現実がありました。

たとえばサマースクールで、「多文化を理解するために重要なことは何ですか」と言われて、「curiosity(好奇心)」と「empathy(共感力)」って言ったら、まったくもって私の発音を先生が聞きとってくれない。自分では、いいこと言ったなって思ったのに。でもそのショックな経験って、私が現地で得たいちばん大きな収穫でした。

鬼頭:私も発音自信ないですね……。でも発音って一朝一夕に直らないじゃないですか。そのシチュエーションってどのように打破されたんですか? 単語を言い換えたとか?

山口:言い換えられる語彙力があったらよかったんですけど、本当になす術がなかったです。そのときに「ああ、自分は日本で『なんちゃって英語』をしゃべってたんだ」という事実に初めて気づきました。それが世界で通じるというわけではなく、「日本にいるネイティブは、日本英語に慣れた人だったから理解してくれていた」という現実を、自分自身で認識しました。

そういう自分の意志を表現できない経験って、物心ついて以来初めてだったんですね。そのときに本当に心の底から、英語を学ぶ必要があるんだと感じました。こういうショッキングな経験は、誰しも必ず一度は必要だなと感じました。

鬼頭:発音の難しさは、どのように乗り越えていったんですか?

山口:まず練習するうえで、大きなポイントをいくつか探しました。探しだしたいちばん大きなポイントが、強弱。英語って本当に信じられないくらい強弱があるんですよ。ネイティブの人が横で話しているのを聞くと、「え、本当に?」って聞き返したくなるくらい。

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