若者は、生意気なくらいがちょうどいい 気鋭の若手監督が語る「継承」の手法

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この映画の撮影現場でも、60歳以上のベテランスタッフから若いスタッフへの、ある種の「映画的気概の継承」みたいなものがありました。ベテランスタッフの方たちは、今まで当たり前のようにフィルムで撮影してきた世代ですが、そのフィルムも近々なくなろうとしている。そういう時代だからこそ、映画としての継承みたいなものをやらなくてはいけない。「今まで俺たちがやってきた映画をもう一回やろうじゃないか」という雰囲気がありました。

――フィルム撮影を通じて、そういうベテランから継承したこととは?

映画に向かう姿勢ですね。今回はCG処理をほとんど使わずに、できるだけアナログの作業で作ろうというプランがありました。もちろんアナログがよくてデジタルが悪いというような二元論ではないんですが、本来、映画の作り方はアナログだったわけです。そこに行き着くまでのプロセスや姿勢、またはその仕事に込める情熱みたいなものが、この映画には重要だと強く感じたんです。

ステップアップの実感は450円の枝豆?

――最初にインディーズでやられていた石井監督が、だんだんミニシアター系の映画を手掛けるようになり、そして今回は200館規模公開の大きな作品を手掛けることになりました。ご自身ではステップアップしているような実感はあるのでしょうか。

徐々にステップアップしている感覚はないですね。これは正しいたとえなのかわからないですが、酒を飲むときに、例えば450円の枝豆を1品余計に頼んだとしても、それがあまり気にならなくなった程度のことです(笑)。

――自分のやりたいことがやれるような環境になってきましたか?

そうですね。幸せな状況だと思います。

(C)2013「舟を編む」製作委員会
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