無名女性が、電子出版界の寵児になったワケ

米国騒然!自力で100万冊売った驚異の作家

高校ではまったく目立たない生徒で、友達も少ない。両親は離婚。女の子が好きそうな華やかなものには目もくれず、男の子、しかもオタクっぽい男の子が好む『スタートレック』や新進のロックバンドなどに夢中になっていたという。冴えない日々だ。

冴えない少女から、電子出版界のシンデレラガールとなったアマンダ・ホッキング

それでも、ホッキングは書き続けた。中華レストランでの皿洗いや老人ホームでの仕事をしながら、そのうち本格的に小説を書こうと決心する。それまでのお遊びのようなやり方ではなく、集中して執筆に取り組んだ。

彼女が書くのはヤングアダルト向けのファンタジー小説で、特に“パラノーマル”と呼ばれる超常現象や、超常能力者を扱ったものが中心だ。

そんな小説にたどり着いたのは、マーケットリサーチの結果でもあった。好きなヤングアダルト小説を読みあさり、書店へも足を運んで、どんな小説が出ているのかを研究したのだ。ヤングアダルト小説は実に混み合った市場だが、ホッキングは独自の嗅覚でそこに活路があると見抜いたのだ。

そうして書き上げた小説を、再びニューヨークの出版社へ送ったが、やはり返事はなし。ホッキングは25歳になっていた。しばらくは、「万事休す」とメゲていたという。

自費出版プラットフォームに、片っ端からアップ

だがその後、彼女がやったのは、前述したようにアマゾン、スマッシュワーズ、バーンズ&ノーブルなど、その当時、話題になりかけていた自費出版プラットフォームにその小説をアップロードしたことだった。それが2010年の春。

最初の日に売れたのは5冊。次の日にも5冊。もう1作の小説もアップロードしたら、1カ月後には合わせて1日40冊近くも売れていた。それが月を追うごとに増えていき、ひと月で数千冊から1万冊へ拡大し、そして10万冊にもなったのは最初の小説をアップロードしてから1年にも満たない2011年初頭だった。

その年の年末までには、10冊ほどの小説が合計で100万冊を売り上げ、アマゾンの人気自費出版作家のカテゴリーである「キンドル・ミリオンクラブ」の殿堂入りを果たしたのだった。

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