東芝の電子書籍、“自前路線”の成算 コンテンツサービス、凸版印刷との協業は見直し

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東芝が電子書籍のコンテンツサービス「ブックプレイス クラウド イノベーション(ブックプレイス)」を4月4日に開始した。コミックや文芸書などを取りそろえ、今年夏に10万冊の提供を見込んでいる。

これまで東芝は液晶パネルを用いた電子書籍端末「ブックプレイス」に特化し、電子書籍コンテンツサービスについては凸版印刷の子会社ブックライブとの協業により進めてきた。今回、独自サービスを立ち上げたことで、共同運営を見直して自前路線の道を選ぶことになる。

出版社との直接取引も検討

端末メーカーが独自サービスを展開するのは珍しい。ソニーも電子書籍端末「リーダー」のほかアンドロイド端末で利用できる電子書籍サービス「リーダーストア」を展開しているが、コンテンツ調達はソニーとKDDI、凸版印刷との合弁会社「ブックリスタ」を中心としている。東芝も電子書籍の取次業者を通して調達する方針だが、コンテンツによっては出版社との直接取引も検討するという。ブックライブとの協業で培ってきたサービスのノウハウを生かし、端末からサービスまですべてを自社に取り込むこととなる。

東芝の電子書籍リーダー「ブックプレイス モノ」

新サービスはiOSとアンドロイドOSに対応するほか、16日には電子ペーパーを搭載した電子書籍リーダー「ブックプレイス モノ」も発売する。1アカウントで最大5台まで利用可能。専用端末は約180gで2500冊分の書籍コンテンツを保存するほか、日本語文章の読み上げ機能も提供する予定。端末単体での販売はせず、書籍やコミックとのセット販売のみとする。販売はオンラインとストアに加え、戸田書店やリブロの書店でも扱う予定だ。

一方で、これまで手掛けてきたブックライブとの協業サービス「BookPlace powered by BookLive!」は、「BookLive! for Toshiba」に名称変更し、ブックライブのサービスへ移行する。液晶パネルを搭載した東芝の電子書籍端末ブックプレイスは、今回の新サービスには対応せず、ブックライブ側のサービス専用端末となる。まさに新サービスはゼロからの出発となるが、2013年度の会員50万人の獲得を目指すという。

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