キンドルでさえも、ガラパゴスの罠にはまる なぜ日本は「電子書籍の墓場」なのか(下)

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ついに日本デビューを飾ったキンドル。「初日出荷分は売り切れ」と報道されたが、それはあくまでネット販売での話だ(撮影:今井康一)

前回の記事で私は、日本が電子書籍の墓場である(電子化が進まない)理由として、次の7点を挙げた。今回は、この7点について、さらに詳しく述べていきたい。

(1) 電子書籍のタイトル数が少なすぎる

(2) 電子書籍専用端末がまったく普及していない

(3) 著作権処理が煩雑で手間がかかりすぎる

(4) 出版社側に著作隣接権がない

(5) 紙に比べ電子書籍の価格にお得感がない(価格決定権の問題)

(6) フォーマットが乱立し電子書店ごとに異なる

(7) 流通を阻害している厳しいDRM規制がある

まず断っておきたいのは、(1)(2)は直接の原因ではなく、(3)~(7)の結果であるということだ。(3)~(7)を軽視して(1)を解消しようとした結果、出版デジタル機構の「100万点電子化」計画が事実上失敗している。同じく、(2)を追求して、各電機メーカーが次々に電子書籍専用端末を発売したのに、これまで売れた端末は皆無だった。

現在、この壁に、アマゾンの「キンドル」が挑んでいる。しかし、(3)〜(7)が改善されないかぎり、「キンドル」でさえも、日本の「電子書籍ガラパゴス」の罠にはまってしまうと、私は思っている。

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