以上が、日本で電子出版が進展しない理由だ。日本が「電子書籍の墓場」である理由でもある。これが解決しないかぎり、日本の電子出版は本格的に立ち上がらないだろう。
では、この問題を誰かが積極的に解決しようとしているだろうか?
私が見たところ、その兆しは今のところない。しかも、日本の電子出版市場は、インプレスR&Dの調査報告書によると、すでに成長が止まっているのだ。
2011年度の電子出版の市場規模は629億円(推定値)。2010年度が650億円だったので、3.2%のマイナス成長である。
それにしても不思議なのは、こんな状況にもかかわらず、いまだに電子出版市場に莫大な額の投資がなされていることだ。電機メーカーも、印刷会社も、出版社も、書店も、これまで電子出版で大きなリターンを得たところはない。
「電子出版元年」と言われた2010年から今日まで、私はずっと取材を続けてきたが、成功例は皆無といっていい。前回記事で紹介したように、出版社の経営者はみな頭を抱えている。
そこで最後に言いたい。もし成功例があるなら、どうか教えてほしい。私が本当に書きたいのは「電子出版成功物語」なのだから。
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