キンドルでさえも、ガラパゴスの罠にはまる なぜ日本は「電子書籍の墓場」なのか(下)

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以上が、日本で電子出版が進展しない理由だ。日本が「電子書籍の墓場」である理由でもある。これが解決しないかぎり、日本の電子出版は本格的に立ち上がらないだろう。

では、この問題を誰かが積極的に解決しようとしているだろうか?

私が見たところ、その兆しは今のところない。しかも、日本の電子出版市場は、インプレスR&Dの調査報告書によると、すでに成長が止まっているのだ。

2011年度の電子出版の市場規模は629億円(推定値)。2010年度が650億円だったので、3.2%のマイナス成長である。

それにしても不思議なのは、こんな状況にもかかわらず、いまだに電子出版市場に莫大な額の投資がなされていることだ。電機メーカーも、印刷会社も、出版社も、書店も、これまで電子出版で大きなリターンを得たところはない。

「電子出版元年」と言われた2010年から今日まで、私はずっと取材を続けてきたが、成功例は皆無といっていい。前回記事で紹介したように、出版社の経営者はみな頭を抱えている。

そこで最後に言いたい。もし成功例があるなら、どうか教えてほしい。私が本当に書きたいのは「電子出版成功物語」なのだから。

山田 順 ジャーナリスト

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やまだ じゅん / Jun Yamada

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年『光文社ペーパーブックス』を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースも手掛ける。著書に『出版大崩壊』『資産フライト』『出版・新聞 絶望未来』『2015年 磯野家の崩壊』などがある。

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