「原発推進派」と批判されても、貫くべき「義」

経産省政務官として経験した「原発問題」

グローバル化が急速に進む中、われわれは「日本人とは何者で、日本とはどんな国なのか」という問いに直面しています。 この連載では、米国で18年間を過ごし、財務官僚、首相補佐官として、政治の最前線を見てきた著者が、自らの経験や日本の歴史を踏まえながら、日本に今必要な「物語」とは何かを考えます。
野田政権下、原発再稼働を巡り、経産省は激しい批判にさらされた(撮影:今井康一)

正しい精神論こそが合理的

前回の文章では、『葉隠』から引用したりして、「北神はなんと合理性に欠けた考えを持っているのか」と辟易された方がいるかもしれません。

確かに、「愛国心」や「国家の(夢)物語」よりも、「冷静に国民の損得を説くほうが健全だ」という玄人的な「現実主義(リアリズム)」もよくわかります。通常は、そのほうが合理的な場合が多いでしょう。

しかし、今の日本には、そういう合理的思考以上に、何よりもわれわれを国家の大事業に駆り立てるような、燃え上がる熱情と精神の勇躍のほうが、むしろ欠けているのではないでしょうか。登山家がエベレストのようなとてつもない頂に挑戦をするのは、「そこに山があるから」という不合理な炎が心を焦がすからです。

したがって、私はここであえて精神論を唱えます。さらには、正しい精神論こそが、合理的であるとさえ主張します。

本連載の1回目に財政再建について述べました。予算の支出と収入を合わせることは、まさに金銭の計算以外の何ものでもありません。しかし、実際は、そう簡単にいかないのは、財務官僚や一部の政治家たちが痛感しているところでしょう。

昔、江戸時代に山田方谷という大政治家がいました。備中松山藩の元締役(大蔵大臣)として財政を立て直した方です。当時の松山藩には、約600億円 (10万両)の負債があり、収入の7割以上を借金に頼っていたのです。方谷は、ものの8年間で、この膨大な借金を返済するのみならず、約600億円の黒字 を残して、元締役を退きます。

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