ハーバードの授業が、泣くほど感動的な理由 海外MBAへの社費派遣は、本当に無駄なのか?

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ハーバード生や、HBS随一の日本人教授・竹内弘高教授と一緒に、被災地でどぶ掃除

「震災復興とは、震災以前の状態に戻すことではなく、新しいビジネスモデルやコミュニティの仕組みを作り上げることだと強く思いました。そして、東北が復興に成功すれば、世界が今後直面する問題のモデルケースになるはずだと」

呉さんが執筆中のケースは、卒業後、ハーバードビジネススクール随一の日本人教授、竹内弘高教授の授業で最初に活用される予定だ。竹内教授は、担当教授として、呉さんを含むプロジェクトチームの先頭に立って、引っ張ってくれたという。

「竹内教授を見ていて、いずれは日本のビジネスについて、後進に伝えていきたいと強く思いましたね。もちろん、まずはグローバルビジネスの現場で、経営を実地で学び、ハーバードで培ったリーダーシップを実践していきたいと思っています」

さて、卒業後、派遣元に戻る呉さんに、あらためて「日本企業の社費留学制度は今後も必要でしょうか」と聞いてみた。

「僕は『会社に投資してもらった』と思っていますし、会社や、会社にいる仲間にMBA留学で得た経験を還元したい。ですから、今後も三井物産に良い影響を与えられる存在になるべく、頑張っていきたいと思っています。

僕の姿を見て、後輩たちがMBA留学を志すきっかけになってくれればうれしいです。会社にとってメリットがあるかどうかは、今後、どれだけわれわれMBA取得者が活躍できるかにかかっていると思います」

 

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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