ハーバードの授業が、泣くほど感動的な理由 海外MBAへの社費派遣は、本当に無駄なのか?

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呉さんは、楽天の三木谷浩史社長が英語を社内公用語にしたケースや、中国の家電メーカー・ハイアールの海外戦略のケース、さらには、日産のカルロス・ゴーン社長が、業績をV字回復させたケースなどで、毎回、積極的に発言した。

これに対し、ジャンピエロ・ペトリリエリ教授は、毎回、よくフィードバックをくれたという。特に評価されたのは、日産のケースだった。

「ブンショー、君の発言は、深い見識がうかがえる鋭い発言だった。まず、日本の企業文化を説明したうえで、『ゴーン氏の改革は、外国人だからできたことである』という考えを、とても論理的に発言できていたよ」

こうした成功したリーダーのケースについて、教授や同級生と濃い議論を重ねた後で、授業の後半は、自分のキャリアマネジメントをどうするかに焦点が当てられる。

呉文翔(くれ・ぶんしょう)
1983年神奈川県生まれ。3歳から8歳までニューヨークで過ごす。2006年慶応義塾大学法学部卒業後、三井物産株式会社に入社。エネルギー本部でロシア・サハリンIIプロジェクトやフロンティア地域での新規ガス田買収案件を担当。2011年9月よりハーバード大学経営大学院留学

2011年11月の授業のテーマは、「10年後の自分」と「20年後の自分」。90人の学生たちが、それぞれ、夢を語り合った。

呉さんは、「まずは、日本人の経営者として成功し、ビジネスの世界でしっかりと世の中によいインパクトを与えたい。そして、その後は、自分の経験を次の世代に伝えていきたい。できれば、ハーバードビジネススクールで教えるのが夢だ」と発表した。

一方、同級生たちは、「子どもに誇れる仕事をしている」「妻と20年経っても愛し合っている」「母国に帰って、母国のために働いている」など、思い思いの夢を語った。ウガンダ出身の学生は、「ウガンダの大統領になる」と宣言していたという。

「『社長になる』『大金持ちになる』と書く人がもっと多いのかなと思いましたが、仕事以外のことを『夢』として語っている人が多かったですね。仕事で成功するというのは、夢というより、ハーバード生にとっては現実的な目標なのかもしれません」

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