ハーバードの授業が、泣くほど感動的な理由 海外MBAへの社費派遣は、本当に無駄なのか?

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授業を受け持つジャンピエロ・ペトリリエリ客員教授は、フランスのビジネススクール、INSEADの助教授。INSEADで、学生たちから「最高の教師」に選ばれたこともある人気教授で、現在はハーバードのほかに、スイスのIMDなどでも教鞭を執っている。

ハーバードでは、多くの卓越したリーダーシップの授業があるが、入学後、最初に履修するペトリリエリ教授の授業は、まさにハーバード生としてのリーダーシップの基礎を学ぶ授業でもある。

授業は、衝撃的なケースから始まる。ハーバードビジネススクールを卒業したばかりの若きエリートが、医療機器メーカーで新規事業の立ち上げに邁進し、苦闘し、そして突然、解雇されるという実話だ。

このケースは、ここ数年、最初の授業で扱われていて、新入生は、自分の姿と重ねながら、「ハーバードを卒業したからといって必ずしも成功するとは限らない現実」を目の当たりにし、気を引き締めるのだという。

授業は3カ月間で、大きく分けて3つのテーマを扱う。そのほとんどが、ケース(企業事例)を基にしたクラスディスカッションだ。1つ目のテーマは、組織の中で、どうリーダーシップを取っていくか。部下や上司、同僚などと、生産的な関係をいかに築いていくべきか。

呉さんが影響を受けた、ジャンピエロ・ペトリリエリ客員教授の授業

2つ目は、成功するリーダーとなるために、どのような決断をし、アクションをとるべきか。

そして3つ目が、自分のキャリアプランをどう戦略的に立てていくか、だ。

ケースディスカッションに正解はない。

「80分間のケースディスカッションには、毎回、『気づき』があるんです。アメリカでは、こんな考え方をするのか。インド人は、中国人は、こんな考え方をするのか。こんなコミュニケーションの方法があったのか、など。

そして、その『気づき』を自分のものにして、日々、自分のリーダーシップスキルを向上させるよう、心掛けました。何より、リーダーシップは生まれもってきた才能やカリスマ性ではなく、努力によって身に付けられるスキルであることに気づかせてくれた授業です」

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