子どものゲーム依存症を軽く見てはいけない 将来に禍根を残すかもしれない

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日本ではおよそ30年前から各種のテレビゲームが出現。同時期にキレる子の増加、子どもの生活リズムの不規則化、思考力の低下が指摘されました。スマホやSNSなどの普及による、子どもへの強い影響も社会問題となっています。学校訪問を十数年続け、子どもの学校での状況を診てきた私から見て、デジタル機器の普及とともに子どもたちの心身がどんどん疲れていっているように思います。

拙著『子どものこころは「公教育」が救う』でも触れているのですが、こころの病気はすでに大人だけのものではなくなりました。時代は少子化の一途をたどっているにもかかわらず、子どものこころの病気はなぜか増えています。

子どもの「ゲーム依存症」

子どもの「こころの現代病」といってもいいのが「ゲーム依存症」です。今の小中学生は生まれたときから携帯端末やコンピュータ等のデジタルなゲームが身近にあり、当たり前のように生活時間のある程度を占めています。ある程度であれば良いのですが、それが昂じて1日のうち何時間もゲームだけに没頭していると、次第にそれなしでは自分の生活が成り立たないほどの依存性があらわれてしまうのです。極端なケースでは0歳からゲームに触れ、すでに4歳の時点で依存症になってしまったというケースにも直面しています。

子どもがゲームばかりして勉強が手につかず、成績が落ちて、という話は今に始まったことではありませんが、それが周囲への暴力や、集団からの孤立を進めるとなっては、すでに個人の生活態度の問題では片付けられません。「こころの病気」を疑うべきなのです。

深刻化もまた然り。青少年による凶悪犯行は確かに昔もありましたが、レアケースとみられていました。今はどうでしょうか。行き過ぎた暴力、暴行による子ども同士の傷害事件は後をたたず、陰惨な殺人事件も起こっています。

手をかけた子が「悪い子」だったというのは簡単ですが、では「悪い」とはどういうことでしょうか。それは発達心理学上、正常な発達が何らかの要因で妨げられたことであり、問題行動はその結果です。そして子どもの発達には、周囲の関わりが不可欠であることは自明の理です。

放っておいて勝手に大人になる子どもはいません。歳を重ね体は成長したとしても、社会の一員として生きていくための人間関係の構築や集団化、ルール・モラルの遵守といったことは家庭と学校教育をはじめ、周囲の大人たちからの働きかけがなければ身に付かないのです。

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