日本は調査捕鯨を続けることができるのか シーシェパードとの合意は「空手形」?
米国などを中心に根強い反発の声があり、たびたび外交問題に発展してきたのが調査捕鯨だ。その調査捕鯨をめぐり、このほど重要な動きがあった。
日本政府・水産庁の許可を得て調査捕鯨を行う一般財団法人日本鯨類研究所と共同船舶株式会社は8月23日、米国に本拠を置くシーシェパード・コンサベーション・ソサエティと永久的な妨害差止について合意したことを発表したのだ。
「私的目的の暴力行為の明確な事例」
シーシェパードはグリーンピースを脱退したポール・ワトソン氏によって1977年に創立された「環境保護団体」。日本やアイスランド、ノルウェーなどの捕鯨船に体当たりで攻撃するなど、過激な行動で知られている。
シーシェパードによる妨害行為に対し、日本鯨類研究所と共同船舶は2011年12月8日に米国シアトルのワシントン州連邦地方裁判所に提訴。米国第9巡回区上訴裁判所は2012年12月17日に暫定差止命令を出し、2013年2月25日にはシーシェパードとワトソン氏の行為を「私的目的の暴力行為の明確な事例であり、まさに海賊行為を具現化したもの」と判決を下している。それでも妨害行為が続いたため、2014年12月19日に同裁判所は「法廷侮辱罪に相当」と判断し、シーシェパードとワトソン氏に255万ドルの賠償金を課していた。
日本鯨類研究所によれば、今回の合意の内容は以下の通りだ。
①シーシェパード、ポール・ワトソンおよび彼らに協力する者は、調査船とその乗組員を攻撃、また安全航海を脅かす航行を永久に禁止される。
②シーシェパード、ポール・ワトソンおよび彼らに協力する者は、公海上で調査船に500ヤード以内に近づいてはならない。
③シーシェパード、ポール・ワトソンおよび彼らに協力する者は、その他のシーシェパード・グループの団体が妨害するための資金提供を行えない。
ではこれで日本の調査捕鯨はシーシェパードの妨害から解放され、安全が保障されるのだろうか。
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