近ツー、「元サヤ」戦略で消費バブル取り込む 別れたクラブツーリズムと再統合の真相

拡大
縮小

定年後の団塊世代が嘱託などの非常勤からも退職する「完全定年」の広がりから、旅行各社は国内外への長期ツアー客の拡大に期待を寄せている。

アベノミクスへの期待先行で株価が上昇したことに伴う、資産効果も大きい。富裕層の中でも暇を持て余したシニア世代を中心に、旅行商品を今までよりもランクアップしていく傾向がある。高額消費にバブルの兆しも出ていることは、旅行各社の新年度業績に好影響をもたらしそうだ。

旅行業界2位のKNT(近畿日本ツーリスト)も、かつての収益水準には及ばないものの、前2012年度(12年1~12月)は増収増益で着地した。今13年度は、グループのクラブツーリズムとの統合で新会社「KNT-CTホールディングス」となり、収益規模を一段と拡大する見込みだ。

業績悪化でクラブツーリズムをファンドに売った過去

KNTとクラブツーリズムとは、もともと“同根”の会社同士。KNTは国内旅行「メイト」、海外旅行「ホリデイ」など個人向け旅行商品に加え、企業や学校等の団体旅行も手掛ける総合旅行会社として知られる。

一方のクラブツーリズムは、2004年にKNTから分離独立した。シニア世代にターゲットを絞った会員組織型の旅行会社であり、会員向け雑誌「旅の友」や新聞広告でテーマ性の高い旅行商品を企画・告知・集客する。

そもそもKNTは01年1月に、2年後をメドに日本旅行と合併すると発表したが、米国同時多発テロなどから業績が急悪化し約1年後に撤回した経緯がある。その後、04年にはクラブツーリズムをファンド出資の受け皿会社に250億円で売却し、当時抱えていた繰越損失118億円を一掃した。

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