難民申請者の目前に広がる不法就労の闇市場 闇市場がいまや公共事業にまで広がっている

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 8月8日、戦火や民族紛争で疲弊した祖国を逃れ、日本に救いを求めてやってくる難民申請者が増加の一途をたどっている。写真は、トルコ国籍のクルド人、マズラム・バリバイさん(24)と妹のスーザンさん。埼玉県蕨市の自宅で昨年10月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)

[蕨市(埼玉県) 8日 ロイター] - 戦火や民族紛争で疲弊した祖国を逃れ、日本に救いを求めてやってくる難民申請者が増加の一途をたどっている。政府の厳しい入国管理の下、彼らが難民認定の厚い壁を越えるのは容易ではない。入国管理施設から「仮放免」されても、就労が禁じられているため、彼らの多くは不法に職を得て生計を立てざるを得ない。

しかし、政府の閉鎖的な姿勢とは裏腹に仮放免者による不法就労は、すでに民間の建設業などを支える人材供給源となっている。そして、そのブラックマーケットがいまや公共事業にまで広がっていることが、ロイターによる取材でわかった。

「移民政策はとらない」と公言する安倍晋三政権。一方で、外国人労働者を「のどから手が出るほど欲しい」と希求する企業側。仮放免者をとりまく矛盾や混乱は、現実に立ち後れる日本の不透明な対応を浮き彫りにし、その中で多くの外国人が難民として認定されないまま、将来を描けない暮らしを続けている。

不安定な「仮放免」の日々

トルコ国籍のクルド人、マズラム・バリバイは、日本に到着して8年以上、24歳になった今もなお、政府による難民認定を待ち望んでいる。父親がトルコの政府軍兵士に拷問されるところを目撃し、身の危険を感じて日本への脱出に踏み切ったものの、定住資格がとれないまま仮放免という立場を強いられている。就労は許されておらず、いつまた収容されるのかもうかがい知れない日々が続く。

仮放免とは、本国への退去命令が出て収容された外国人が家族や友人、支援団体などを身元保証人とし、収容所から暫定的に出所できるという制度。仮放免中は仕事につくことが許されていないため、身元保証人が生活費の面倒をみることが建前となっている。就労の事実が見つかれば、再び拘束される恐れがある。

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