難民申請者の目前に広がる不法就労の闇市場

闇市場がいまや公共事業にまで広がっている

とりわけ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、建設業界は深刻な労働者不足に直面する。鹿島建設<1812.T>の伊藤仁常務執行役員は、ロイターとのインタビューで、東京五輪直前の2018─19年に「建設業界は過去に経験がない規模の工事量を同時期に施行することになる。技能労働者不足が非常に懸念される」とし、外国人労働者について「その2年間はのどから手が出るほど欲しい」と話した。

入国管理の厳格化をすすめる政府。外国人労働者への期待を高める企業側。日本の矛盾した現実が、難民申請者らを不法就労の闇市場に誘い込む。そして、人材ブローカーを通じ、彼らの労働力が日本企業に供給される。

昨年、ロイターは、富士重工業<7270.T>の主力ブランドであるスバル車が米国で一大ブームを謳歌する背景として、アジアやアフリカから日本に来た難民申請者らが劣悪な環境の下、同社の系列会社工場で働いている、との実態を報じた。さらに今年、入国管理局の収容所において、難民申請者の処遇には医療システムを含め深刻な問題があることを明らかにしてきた。

病気になれば借金が増える

多くの一般国民からは実態が見えにくい難民申請者だが、彼らの数は各地にコミュニティーが生まれるほどの増加を続けている。

その一つは、埼玉県蕨市と川口市周辺に広がる通称「ワラビスタン」。日本が高度成長期にさしかかった50年ほど前に人気を博した映画「キューポラのある街」はこの地の鋳物産業が舞台だった。そこに、いま約1200人のクルド人が住む。クルディスタンがクルド人の地を意味することから、蕨とかけあわせた「ワラビスタン」という呼び名が生まれた。マズラムもこのコミュニティーの住民だ。

ワラビスタンに住むクルド人の多くは難民申請者だ。彼らは日本人が嫌がる、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の仕事をしながら、自分や家族らの生活を支えている。支援団体などによると、これまで日本で難民申請をした数多くのクルド人の中で、認定をうけることができたのは1人としていない。昨年、日本で難民申請した7586人のうち、認められたのはほんのひと握りの27人にすぎない。

2015年12月時点で、日本は1万3831件と過去最高の難民申請を審査中だ。2015年末の仮放免者数は4701人。支援団体などによると、このうち約400人がクルド人だという。

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