ジョブズが実践した「温故知新」

キヤノン電子社長 酒巻久氏に聞く(下)

精密機器大手のキヤノンで研究開発に従事し、特許は600件にも上るという酒巻久氏。キヤノンでは常務取締役生産本部長も務め、その後、業績低迷の再建を託されて社長に就任したキヤノン電子では、ムダの徹底排除によって業績向上、財務体質の強化を実現し「カイゼンの達人」とも言われた。
『リーダーにとって大切なことは、すべて課長時代に学べる』(朝日新聞出版刊)などマネジメントについての著書もある酒巻氏が語る、新任マネジャーへのアドバイスとは。

(上)はこちら

論語にある3つの要素

私は、論語にある3つの要素を持っていれば、研究開発でも、マネジメントでも成功することができると考えています。

ひとつ目は、「恕」です。論語の本質は何ですかと問われたときに、孔子が「恕」と答えたというくらい、重要な言葉です。これは、相手の立場で物事を考えるということです。

「中庸」も大事です。自分の専門を追求しながら、経済、美術といった幅広い知識、能力を身につけるように努力することです。

そして、「温故知新」。すべての物事は人間がつくっているものです。人間の根源的なところは、進歩していません。古い時代のことをよく勉強することは、現代にも生きるんですね。

アップルのカリスマ経営者だったスティーブ・ジョブズは、この温故知新を実践した人でもありました。

一昨年、惜しまれながら逝去したカリスマ経営者、スティーブ・ジョブズと親交のあった酒巻氏。実際に目にしたジョブズの卓越したアイデアもまた、「温故知新」であったという。そして、最先端とは「時代のニーズに合ったもの」であると喝破する。

意外に思われるかもしれませんが、実はジョブズがつくったもので新しいアイデアは少ないのです。

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