そもそも経営は好きではなかった
私は長い間研究開発に携わってきましたから、経営というのはあまり好きじゃないんですよ。研究開発と比べると、経営は簡単すぎて(笑)。
実は、ある程度の地位になるまでマネジメントのことなんて考えたこともなかったのです。キヤノンに入社してからずっと研究開発をしていて、最初にマネジャーになったのは30歳のとき。主任研究員という立場でした。当時の主任研究員はキヤノン全体で20人くらいしかいなかったですし、今でいえば事業部長くらいの権限があったのではないでしょうか。
最初の頃は、マネジメントというより自分が何をつくりたいかということだけを考えていました。私は子どもの頃から物づくりが好きで、どちらかといえば「オタク」に属していたのです。小学校に上がる頃から、鉱石ラジオとかをつくっていました。いまだにオーディオくらいだったら自分で直してしまいます。
しかし、何かをつくりたいと思ったときに、独りでできることには限界があります。研究開発においても、やはり組織でなければできないことは多いのです。それでまずは部下と面談をして、自分なりに何がつくりたいのかということを伝えました。
上司に明確な目標がなければ、マネジメントなんてできません。だから、まずはその目標、自分が何をしたいと思っているのかを伝えることが大事なのです。
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