"オタク"部長、「カイゼンの達人」に化ける

キヤノン電子社長 酒巻久氏に聞く(上)

精密機器大手のキヤノンで研究開発に従事し、特許は600件にも上るという酒巻久氏。キヤノンでは常務取締役生産本部長も務め、その後、業績低迷の再建を託されて社長に就任したキヤノン電子では、ムダの徹底排除によって業績向上、財務体質の強化を実現し「カイゼンの達人」とも言われた。『リーダーにとって大切なことは、すべて課長時代に学べる』(朝日新聞出版刊)などマネジメントについての著書もある酒巻氏が語る、新任マネジャーへのアドバイスとは。

そもそも経営は好きではなかった

私は長い間研究開発に携わってきましたから、経営というのはあまり好きじゃないんですよ。研究開発と比べると、経営は簡単すぎて(笑)。

実は、ある程度の地位になるまでマネジメントのことなんて考えたこともなかったのです。キヤノンに入社してからずっと研究開発をしていて、最初にマネジャーになったのは30歳のとき。主任研究員という立場でした。当時の主任研究員はキヤノン全体で20人くらいしかいなかったですし、今でいえば事業部長くらいの権限があったのではないでしょうか。

最初の頃は、マネジメントというより自分が何をつくりたいかということだけを考えていました。私は子どもの頃から物づくりが好きで、どちらかといえば「オタク」に属していたのです。小学校に上がる頃から、鉱石ラジオとかをつくっていました。いまだにオーディオくらいだったら自分で直してしまいます。

しかし、何かをつくりたいと思ったときに、独りでできることには限界があります。研究開発においても、やはり組織でなければできないことは多いのです。それでまずは部下と面談をして、自分なりに何がつくりたいのかということを伝えました。

上司に明確な目標がなければ、マネジメントなんてできません。だから、まずはその目標、自分が何をしたいと思っているのかを伝えることが大事なのです。

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