"オタク"部長、「カイゼンの達人」に化ける キヤノン電子社長 酒巻久氏に聞く(上)

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部下の後ろ姿を観察する――。何を考えているのかわからない部下、一見温厚そうでありながら一癖ある部下など、部下の本音を探るには無意識の状態をしっかりと観察しておくことが大事だと酒巻氏は言う。

マネジメントにおいて大事なのは、観察することです。特に、その部下が無意識のときにどういう行動をするのかということをよく見ておくことが大事なのです。

部下の観察ノートをつけてみる

そのためには、人がいちばん無防備になる後ろ姿を見ておくことです。すると、表向きは穏和で文句を言わないような部下が、壁を蹴っ飛ばすかのような態度で歩いていることもあるのです。

私は、部下の観察ノートをつけていました。どういうことを言ったらどう反応したか。朝、出社するときに元気がないことが多いといったちょっとした気づきも書き留めました。

それを最低で3カ月も続ければ、部下に対する理解は深まります。もし部下が何を考えているのかわからないというような悩みを持っている人がいたら、このような観察ノートをつけてみるのもいいかと思います。

もちろん、こんな私でも、せっかく手塩にかけて育ててきた部下に裏切られてしまった経験もあります。しかし、それは世の常です。相手を責めるのではなく、自分なりに何で自分が裏切られたのかを反省したほうがいいのです。裏切った相手に問題があるのかもしれませんが、自分にも非はあるはずです。裏切られるということは、自分に魅力がなかったということでもあるからです。

(撮影:今井康一)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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