子どもの貧困は外見では見分けられない スマホや100均がもたらす変化

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こうした世帯の子どもたちは、ファストファッションや100円均一の商品などで見た目には他の子たちとそう変わらなくても、塾通いや余暇の過ごし方などで差がつき、自己否定的な考え方を持ってしまうことも多い。

見ようとする努力

そうした子どもたちが10代半ば頃になると、社会から早くもドロップアウトしかけるケースも出てくる。

義務教育が終わるまでは「うちはそこまで貧乏じゃない」とのびのび過ごしていても、高校生になり経済格差を体感する子もいる。前出の荒井さんによれば、

「高校に行けたとしても、親から援助を受けられず、自分の生活のためにアルバイトをしなくてはいけない子もいます。友達とも遊べず、勉強もついていけなくなり、結果学校に行くことの意味を見いだせず、中退してしまう子も。アルバイトも転々として、20歳近くまで学歴もキャリアも身につけられないままの子たちを多く見てきました」

こういう子どもたちは、ともすれば「チャラチャラした10代」「遊び惚けている子たち」に見えるかもしれない。かつてなら貧困の子どもというと、服が古びていたり、不衛生だったりと、見た目にも格差が表れた。

ファストファッションやスマホが見た目の格差をなくす役目を果たす一方、“見えにくい貧困”が、背後にある貧困問題や、家庭の問題を見えなくした。荒井さんは言う。

「人知れず、徐々に社会からドロップアウトしてしまう子どもたちが見えなくなっています。親が忙しくてコミュニケーションをとる時間がなくても、地域の人など身近な大人が『見て支える』ことができれば、もう少し目標を持って頑張れる子も増えていくのではないでしょうか」

まずは私たち大人が心にゆとりを持って地域の子どもたちを「見ようとする」ことが必要だ。

(ライター・大西桃子)

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