子どもの貧困は外見では見分けられない

スマホや100均がもたらす変化

本来は、長女が高校生になってアルバイトができるようになったら自分で買ってもらおうと思っていた。だが、部活の練習や試合のスケジュール確認のほか、文化祭などのイベント準備でクラスの出し物を決めたり、休日に集まったりするのにも、「LINEは中学生に必須」ということがわかった。

「うちの子だけ持たせずに仲間に入れなかったら……と考えて、持たせることにしました」

引け目を感じないよう

女性は現在、パートで介護の仕事をしている。月収は手取りで20万円ほど。家賃は1DKに3人暮らしで月9万円。食費に水道光熱費、スマホ代やその他生活費に、残りのほとんどが消えていく。昨今言われている「子どもの貧困」の定義は「相対的貧困」で、国民の所得の中央値(244万円)の半分(122万円)を下回っている世帯にいる子どもということになる。しかし年収200万円を超えてはいても生活は厳しいという。

「子どもたちを高校や大学に入れることを考えて、貯金も少しずつしておきたい。そう考えると、塾に行かせたり、習い事をさせたりする余裕はないですね。ただ、他の子たちが塾に行っている中で、受験が近づいてきたらもっと他の子と差がついてしまうのではと不安があります。でも、まずは最低限、食事も服装も貧相にならないように、引け目を感じるような生活にはさせないように、と思っています」

お小遣いも長女には月に2千円渡している。

「娘は100円均一でマニキュアを買ったりして、女の子同士のオシャレトークも乗り越えているみたいです」

2014年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によれば、児童のいる世帯の平均所得は696万円。一方、11年度の「全国母子世帯等調査」(同省)では、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は181万円。この大きな差が子どもの成長や進路に影響することもある。3年以上シングルマザーを取材してきた尾越まり恵さん(36)は言う。

「シングルマザーも非正規雇用となると年収300万円の壁を越えられず、生活もギリギリになります。習い事や塾に行かせたとしても、お金がかかるものはムリで、比較的安めのスイミングスクールや、公文で1教科のみという子が多いですね」

離婚したシングルマザー家庭では、別れた夫から養育費をもらっていないケースも多い。

「DVで別れたケースなど離婚でもめた場合、つながりを断ちたくてもらわなかったり、学費のみ振り込んでもらったりという人も多いんです」(尾越さん)

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