「手書き」が上手い子は、学力も伸びやすい

文字を書くことで能が活性化する

字を書くことを学ぶのは、書き言葉を「自分のもの」にする大切なプロセス(写真:emi-chiki / PIXTA)

いまどき、きちんとした字を書けるかどうかなんて、重要なスキルじゃないんじゃない?――最近はそんな風潮がある。自分が子供のとき「書き取り」で苦しんだ経験から、こうした風潮に同意する大人もいるだろう。

しかし専門家は、まだ脳が発達中の子供の場合は、文字を書くことが、脳の働きに重要な影響を与えると指摘してきた。そのことを示す研究も増えている。

米国の学習障害研究誌は最近、子供の話し言葉と書き言葉が、注意力と「実行機能(計画能力など)」に関係していることを示す研究論文を掲載した。研究の対象となったのは、小学校4年生〜中学3年生の子供で、学習障害がある子とない子の両方が含まれている。

研究チームをまとめたワシントン大学のバージニア・バーニンガー教授(教育心理学)は、「文字を書くと、心が引き込まれる。だから子供は、自分が書いている言葉に注意を払うようになる」と語る。

フロリダ国際大学のローラ・ダインハート准教授(幼児教育)は昨年、幼児識字研究誌で、文字がうまく書けることと、学力が高いことに相関関係がある理由を語っている。いわく、「字がうまい子の提出物は、教師にとって読みやすいからいい点数をもらいやすい」「まだ字がうまく書けない子は、文字をきちんと書くことに意識が集中してしまい、自分が書く内容に注意が向かない」というのだ。

字を「心で見る」必要性

子供に字を書かせると、本当にその子の脳を刺激することができるのか。ダインハートが低所得層の子供を調べたところ、幼稚園に入る前の段階で微細運動能力がある(つまり文字を書くような細かい手作業ができる)子は、就学後の成績がいいことがわかった。

このことからダインハートは、プレスクール期に文字を書くことと、認識能力、運動能力、神経筋の連携が必要な「複雑なタスク」をこなす能力を身につけるのを助ける方法について、もっと研究を増やすべきだと訴えている。

次ページ文字を書こうとすることが、物事を学ぶ助けになる
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • CSR企業総覧
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT