日本の「経営」と「教育」を再構想せよ 高齢化社会のグランドデザイン(上)
実際、2011年の第1四半期には、中国の最大貿易相手国は日本からEUに移り、中国人の憧れは日本製品からヨーロッパ製品に変わっているのではないかという危機感を強く抱いているんです。
波頭:日本製品は多少高くてもいいものだという認知があれば、海外でもまだ十分に闘っていけるということですね。
和田:そうです。そして、人々が憧れるブランドイメージを形づくるには、2つの条件があると私は考えています。1つはその国の一般大衆が豊かかどうか、もう1つはその国の一般大衆の知的水準が高いかどうかです。
日本が貿易国家として成功を遂げてきた理由の1つは、戦後前半の40年間、政治家も官僚も経営者も国のブランドイメージを上げることに腐心してきたことにあるのではないでしょうか。
ところが、いまや日本は中国、韓国に学力で後塵を拝し、格差が広がって貧しい層が外にむき出しになっている。日本の企業経営者が米国式経営に盲従し、社員との信頼関係を壊し、安売り競争に走って内需拡大を怠り、超高齢化社会への対応に無策である結果です。
これでは、とても日本の製品やサービスを「いいもの」だと思ってもらうことはできません。
第2次産業はオールドエコノミーか
波頭:歴史を振り返ると、「世界の工場」と呼ばれた国は、産業革命時の英国、2回の世界大戦前後の米国、第2次世界大戦後の日本とドイツ、そして今の、中国。その中国にしても、人件費の上昇によって生産拠点はベトナムやミャンマーなどに移っています。この世界の工場フェーズに入った国は高成長を謳歌し、中産階級が膨らみ、そのとき世界で最も勢いのある国になります。
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