日本の「経営」と「教育」を再構想せよ 高齢化社会のグランドデザイン(上)
波頭:私は、冷蔵庫やエアコンは10年もたないと思うんですよ。機能製品と感応製品といわれるように、機能の良し悪しが売りの決め手になる商品と、ブランド品のように持つこと自体に満足を覚える商品があります。
エアコンやテレビ、冷蔵庫は完全に機能製品で、なかなかブランドを発生させにくい。また、つくるのも簡単なので、機能の明確な差別化で残っていくのも難しい。
私は先進国が次のステージで生き残るためには、知恵や知識が凝縮されたインテリジェンス集約型の分野を強化するしかないと思っているんです。
高度な医療機械で世界のトップシェアを握るGEや、パソコンのMacから始まってiPhone、iPadなどのデジタル情報機器、さらにはiTunes Storeを連動した生活情報ネットワークシステムを提供するアップルのように、ほかがなかなか追随できない高度な技術やノウハウを集積する必要があります。
和田:おっしゃることはよくわかります。でも、機能製品でも、機能製品でありながら感応性を持つようなものもあると思うんです。
わかりやすい例で言えば、ダイソン。吸引力の強さとデザインで機能製品である掃除機の発想を変えました。また、羽根のないダイソンの扇風機も、従来の扇風機のイメージを覆し、人気を博しています。
ただ、感応性を持つ機能製品を生み出すには、その国の一般大衆がそこそこ豊かで知的水準が高くなければなりません。
学力が低下し、中流階級が潰れて国が貧しくなると、海外から憧れられる感応性のある機能製品も生まれなくなる。それを私は危惧しているのです。
教育レベルの低下は、国の存亡を左右する
波頭:そこはまったく同感です。第2次産業のブランドイメージを強化するにしても、インテリジェンス集約型の分野を強化するにしても、問題となるのは高度な技術や経営戦略を支える知的水準の高さであり、その基礎となるのは学力です。
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