原子力発電所の安全審査で中枢にいた専門家の発言が、原子力業界に衝撃を与えている。
2014年9月まで原子力規制委員会でナンバー2(委員長代理)を務めた島崎邦彦・東大名誉教授(地震学)が、6月16日の田中俊一委員長らとの意見交換の場で、関西電力・大飯原発3、4号機再稼働のための安全審査の根幹をなす基準地震動が「過小に見積もられている可能性がある」と指摘。「基準地震動の算出に問題がないかどうか、もう一度精査してほしい」と強く求めた。
これを受けて6月20日午後2時からの規制委会合では基準地震動の検証をやり直すかどうかについて議論することになった。
関電が用いた計算式に欠陥あり
島崎氏は、関電が大飯原発の基準地震動を計算するうえで用いている活断層評価のモデル式に、過小評価を生み出す欠陥があると指摘。
モデルは「入倉・三宅式」と呼ばれるもので、これを西日本で多く見られる横ずれ断層(垂直型断層)や垂直に近い断層に用いた場合には、震源の大きさがほかの式を用いた場合と比べて3.5分の1~4分の1程度の小さな値になると田中委員長らに説明した。
そのうえで島崎氏は、本当の震源の大きさが同式での計算結果の3倍以上だとすると「短周期レベルの地震動は5割増しになる。これはかなり深刻な問題だ」との見方を示した。
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