「原発の優劣」が明らかになる新検査制度導入

規制委が常時立ち入り可能な検査へ抜本改革

新たな検査制度で個々の原発の安全性の優劣も明るみに出る(写真は東京電力柏崎刈羽原発6号機、梅谷秀司撮影)

原子力規制委員会は、原子力発電所などに対する検査制度の抜本的な改革に乗り出す。このほど設けた検討チームでの議論を通じて制度改革の骨格を固めたうえで、原子炉等規制法の改正法案を来年初の通常国会に提出する。法改正から3年程度の準備期間を設けたうえで、米国や欧州などの先進事例を参考にした、レベルの高い検査制度への移行をめざす。

規制委は5月30日に「検査制度の見直しに関する検討チーム」の第1回会合を開催した。今後、4回程度の議論を踏まえたうえで、今夏をメドに法改正に向けたとりまとめ案を作成する。また、今夏にも米国の原子力規制委員会(NRC)に5名前後の原子力規制庁の職員を派遣し、原発に常駐する検査官や地域事務所での実務などについて学ばせる。

制度改革の実現には法改正のほかに、検査にたずさわる職員の増員やスキルの向上、予算拡充も必要なだけに、新規制基準適合の審査に追われる規制委は新たな大仕事を抱えることになる。

米国では安全性の優劣が社会の目にさらされる

「IRRSでの指摘の言葉を借りて述べると、(わが国では検査の仕方が)ややチェックリスト方式になっていた」

「わが国においては、規制側の検査に通ればいいという、(電力会社側に)やや受け身的な伝統があった」

検査制度の抜本改革を決めた田中俊一・原子力規制委員長

5月11日の記者会見で、規制委の田中俊一委員長は新たな検査制度のイメージについての本誌記者の質問にこう答えている。

そのうえで、米国では検査などを通じた評価の優劣により、原発を運営する電力会社が支払う損害賠償保険の保険料率に格差がついたり、安全上のパフォーマンスでの原発の優劣が社会の目にさらされているとも田中委員長は述べている。

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