「原発の優劣」が明らかになる新検査制度導入 規制委が常時立ち入り可能な検査へ抜本改革

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田中委員長が言及したIRRSとは、国際原子力機関(IAEA)による各国に対する「総合規制評価サービス」(Integrated Regulatory Review Service)のことだ。規制委の受け入れ表明を踏まえて、IAEAが任命した各国の原子力の専門家が来日し、日本の原子力規制の実態把握のためにヒアリングや現地調査などを実施。それに基づいて今年4月にIRRSミッション報告書が公表された。

日本語に訳された130ページ余りの同報告書では、「放射線源規制・放射線防護」「人材の確保・育成」など、31テーマのうち15テーマで抜本的な改善が必要な「勧告」が出された(勧告の数自体は13)。検査制度についても例外ではなかった。

「日本の"チェックリスト型"検査は見直すべき」

IRRS報告書では、日本の検査制度の現状について次のような指摘がある。

「(規制委に)検査計画を変更する自由度はない」

「検査官がサイト(原発の敷地)にいつでも立ち入り、検査を実施できるのは、法律で規定された検査の期間に限定されている。(中略)ほぼ毎日行われる訪問の間に常駐検査官は、検査ではなく『調査』と呼ばれるものを実施する」

「検査官は、保安調査中に問題を発見した場合に、法的拘束力のある対応型の立入検査の実施を上司に提案できる。こうした対応型検査は、その後、規制委または規制庁原子力規制部長による承認が必要であるが、IRRSチームは、これは通常とは異なる方法であると考える」

「IRRSチームはより効率的かつ効果的になるよう、このプロセスを見直すべきと考える」

このように、IRRSの調査チームは、日本の検査制度の硬直性を問題視した。

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