「原発のテロ対策」は、驚くほど整っていない チェルノブイリ30周年で考えるお寒い現実

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事故から30周年を迎えたチェルノブイリ原発(写真: Sergiy Tryapitsyn / PIXTA)

4月26日、原子炉がテロの標的になるかもしれないという不安が高まる中で、チェルノブイリは事故から30周年を迎えた。

過激派組織「イスラム国(IS)」による最近のブリュッセル攻撃では、重大な懸念が生じた。襲撃者たちが核関連で事件を起こそうとしていた証拠があったからだ。テロリストがベルギーの原子力行政の高官を監視し、原子力発電所の元従業員2名がISに参加したと報じられた。

ベルギー当局が原発を守るため軍隊を急行させた理由については、これで説明がつくかもしれない。

この突然の恐怖は、原子炉が放射性物質の宝庫であり、テロリストに悪用されかねないことを思い出させた。核施設破壊はテロによる暴力の最たるものだろう。放射性元素は国境を越えて広がる。それにより、多くの命が危険にさらされ、チェルノブイリや福島での爆発を再現するような経済や環境の破壊が起こる。

「パンドラの箱」は開いたままだ

西洋諸国やほかの地域は、どの程度憂慮すべきなのだろうか? 危険が依然として深刻なのであれば、なぜ国際社会は強制的な保安基準を課さないのだろうか?

実際、ワシントンはその通りにしようとした。1946年6月14日、米国は原子力の国際規制を目指すバルーク案を国連で提案した。この案では、国際原子力開発機関が「世界の安全保障に対し潜在的に危険な原子力エネルギー活動の全ての管理と所有」を行い、「他の全ての原子力活動を制御、査察、認可する権利」を有するよう提唱した。

冷戦による駆け引きが邪魔しなかったら、今日の原子炉はより安全で頑丈だっただろう。しかし、それどころか、国際社会は現在、各国の国内規制の寄せ集めに直面する事態となっている。結果として、テロリストに対する原子力のパンドラの箱が開いたままになっているのだ。

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