「原発のテロ対策」は、驚くほど整っていない チェルノブイリ30周年で考えるお寒い現実
一般的に、そうした考え方はそう簡単に変えられるものではない。仮説ではなく、実際に事が発生してようやく考え方を改めることができるのだ。
たとえば米国が自動車を使った爆弾テロから原発を守る基準の厳格化に動いたのは、1993年に世界貿易センター(WTC)の地下駐車場で起きた自爆テロがきっかけだった。
そして、WTCを倒壊させた2001年の米同時多発テロ事件(9.11)発生を受けて、米原子力規制委員会(NRC)は、空港の保安チェックを強化すれば、原発に対する9.11型の攻撃は防げるかもしれないと判断して、防御体制を強化した。
しかし、警備の面で金字塔を打ち立てたと主張している米国においてですら、大事には至らなかったものの、原発の警備体制の穴を突く攻撃が何度か起きたとされている。
1つでも起きればすべてが変わるが
意図的な原発事故が1つでも起きれば、これまで無関心だった国々が劇的に警備の習慣を変えることは予期しておくべきだろう。そうなると、権限を持った国際組織が、問題解決に向けた計画を立てられるようになる。
こうした計画は世界中のすべての原発に対して安全保障に必要な条件を強制するものになるべきだ。IAEAなどの認証機関が、そうした条件に基づき発電所の運営を管理することになろう。警備体制に不備が認められれば、運営主体が必要な改善を完了しない限り、その発電施設への認証は停止されることになろう。
不運なことに、こうした種の予防的措置が実施に移されるには、まずは意図的なチェルノブイリが起きるまで、待たねばならないようだ。
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