放射能は300年消えず、「食品汚染の今」

原発事故から4年、あの問題はどうなった?

オイシックスで行われている、ゲルマニウム半導体検出器(左奥の円筒形の機器)を使った食品の放射能検査の様子(撮影:野村昌二)
危機感が薄まりつつあった中、汚染は終わっていないという事実をまた突きつけられた。私たちは、食品のリスクとどう向き合えばいいのか――。

約900グラムの玄米を、容器に詰め、ベラルーシ製の放射線測定器にセットする。30分後に出た放射性セシウムの判定は、「限界未満」。測定器の検出限界値(1キロ当たり6.62ベクレル)を下回った。

この米を持ち込んだ、5歳の長女がいる女性(45)は、判定結果を見て少し表情を和らげた。

「少なくとも自分の目で確かめたので、納得して子どもに食べさせられます」

広い範囲で基準値超え

玄米は2014年福島県産米で、女性が福島の知人からもらった。2月下旬、東京都西東京市にある市民放射能測定所「にしとうきょう市民放射能測定所あるびれお」に持ち込んだ。

福島県産米は全量全袋検査をし、基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えたものは市場に流通していない。福島県が2月末までに調べた14年産米の約1090万袋すべてで、基準値超えはなかった。それでも女性は、不安を感じて持ち込んだという。

11年3月。東京電力福島第一原発事故により、84京(けい)ベクレル(京は兆の1万倍)もの放射性物質が大気中に放出された。これはチェルノブイリ原発事故(1986年)による放出量の16%余に当たる。人々の間に食品の放射能汚染への不安が一気に広がり、水や食べ物に対する関心が高まった。

事故から4年経ち、人々の関心は薄まっているように見えていたが、2月下旬、2号機原子炉建屋から、放射性物質を含む雨水が排水路を通じて海に流出していたことが明らかになった。東電は昨年5月頃、排水路での値が他の調査地点より高いことに気付いていながら十分に対策を講じず、公表もしていなかった。これに対し、地元漁業者からは「情報隠しだ」などと批判が相次ぎ、信頼関係を揺るがす事態になった。

いま、食べ物に含まれる放射性物質はどうなっているのだろうか。

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