「核セキュリティ・サミット」(第4回目)が、3月31日~4月1日、米国の首都ワシントンで開催された。これは「核」と「テロ」が主題のサミット。言うまでも無く、この2つのキーワードが該当する問題は範囲が広い。しかも、世界の指導者はサミットの機会を利用して、2国間、3国間の会談を行うので全体として取り上げられる問題はさらに広がり、焦点はあいまいになりがちだ。
今回は、パリやブリュッセルで起こったテロ事件、北朝鮮の核実験とミサイル発射、トランプ米大統領候補の核関連発言、南シナ海問題など現下の国際問題が活発に話し合われ、むしろ「核セキュリティ」より注目された感がある。
今回、このサミットの意義と今後の課題について考えてみたい。
そもそも「核セキュリティ」とは?
「核セキュリティ」は世界の指導者が直接議論するにはあまりに専門的、技術的だ。会社でも、官庁でもセキュリティは大事なことだが警備の問題であり、そのトップが直接かかわることはないだろう。国家の場合はなおさらだ。
しかし、核をテロの脅威から守ることは今や国家的大事になっている。とくにきっかけとなったのは、2001年、米国の首都ワシントンとニューヨークで起こった同時多発テロ事件だった。
「核セキュリティ・サミット」の提唱が米国のオバマ大統領によって2009年春、プラハ(チェコ)において行われたのはそのような背景があったからだが、最近のテロ事件は欧米に限らない。パキスタンでも数日前に規模の大きい爆発事件が発生した。中国の新疆ウイグル自治区でもテロ事件が何回も起こっている。
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