4月5日、米国中西部のウィスコンシン州で共和、民主両党の大統領候補予備選が行われた。同州の共和党代議員数は42で、これは全米で見ると小規模な部類だ。しかし、同州での予備選を境に、約5カ月かけて行われる共和党の大統領候補選びの流れが変わりつつある。
ウィスコンシン州の予備選ではテッド・クルーズがドナルド・トランプを破り、獲得代議員数は510人へと増加した。
トランプの獲得数はこれまでの善戦のおかげで743人。まだクルーズとの差は大きいが、これからは以前のように勝ち続けるのは困難だろう。
ワシントンへの不信感
そもそも、立候補した時点では泡沫とみられていたトランプは、なぜここまで急速に支持を拡大できたのだろうか。それは、ワシントンで行われる政治は一般の米国民の利益や気持ちを無視して行われているという不満を代弁し、不法移民の流入など難問については壁を築き、その費用はメキシコなど不法移民を生み出している国に負担させるなどと米国民のナショナリズムをあおってみせた。
さらに企業家として“成功”してきた経験をもって米国経済を立て直すことができると夢を抱かせたからだった(同氏は何回も事業に失敗しており、成功したと断言できるか疑問の余地があるが、米国人の間にはトランプを練達の経済人と見る傾向がある)。
しかし、トランプは超えてはならない線を超えてしまった。
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