ドイツでも蔓延する「トランプ現象」の正体

貧富の格差が、国家を分裂へと導いている

デア・シュピーゲルの3月12日号と3月19日号の表紙

[4月1日 (ロイター)] - 「デア・シュピーゲル」誌の表紙がドイツの雰囲気を少しでも表しているとすれば、このヨーロッパ最大の国は爆発寸前である。

3月12日号において、このヨーロッパ最大部数を誇るニュース雑誌は「分断された国家」に関するカバーストーリーで、国内の拡大する所得格差を特集した。カバー写真は、金箔の部屋にいる一組のカップルと、その下にある狭苦しい地下室で身をかがめているその他大勢の人々を表していた。

続く3月19日号では、「『Wutbuerger』の台頭」を特集した。Wutbuergerとはドイツ語の「激怒」と「国民」という言葉を組み合わせた新たな造語で、政治の現状に怒り狂っている人々を表している。ヘッドラインは、絵具を浴びせられたドイツのアンゲラ・メルケル首相のイメージの上で「上層部は私たち全員に嘘を付いている」と叫んでいた。

拡がる貧富の格差

誰もがその存在を認めたくなかった大きな貧富の格差や有権者の反乱は、アメリカに限ったものではない。先進国全体で日々の生活の収支を合わせるのに苦労する中間層が増えており、その一方でグローバリゼーションの負け組は、誰がその責任を負うべきかを知っている非主流派の政治家を支持することで自らを表現しようといる。社会的平和や政治的中庸の典型であった現代ドイツも、その例外ではないのだ。

経済協力開発機構 (OECD) は昨年、「私たちは転換点を迎えた」と警告した。34の加盟国の所得格差は過去50年間で最大の水準にあるとOECDは報告書で述べている。OECD全体で、人口の10%にあたる最も裕福な人々の平均所得は、最も貧しい10%の人々の9倍にも及ぶ。これは25年前の7倍より拡大している。

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