ドイツでも蔓延する「トランプ現象」の正体 貧富の格差が、国家を分裂へと導いている

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AfDの支持者と、ドナルド・トランプ氏が率いる共和党内の反乱の間の類似性は無視しがたい。いずれの運動も、有権者の移民やテロ、権力者のおごりに対する恐怖への本能的な反応である。どちらもソーシャルメディアがもたらす電子的なエコーチェンバー (似たような意見が反響しあう空間) で勢いを増している。

「政治的公正」への抗議は、政策決定の代わりに起きているのである。アメリカ同様、ドイツでは移民、特にイスラム教徒の移民への強い非難は、彼らが比較的少ない地域で最も支持を獲得している。

無視、否認、不信

ドイツとアメリカのエリート層の反応も似ている。無視、否認、不信である。「ニューヨーク・タイムズ」誌のコラムニスト、デヴィッド・ブルックス 氏が先月、自身がトランプ氏の支持者と「社会的に交流してなく、十分に注意深く耳を傾けていなかった」と認めた時、ドイツの主要報道機関の編集委員会がAfDに対して取った態度について話していたといってもおかしくない。

自由主義社会は経済的に不安定な時に危機に晒される。政治の中枢部は中間層が強い時に安定している。しかし、十分な数の人々が負けていると感じた時、社会的対立は避けられない。大衆主義者はこれを餌にして両極化を推し進める。

AfDやトランプ氏などが支持するような非自由主義の天国は既に存在している。ロシアだ。今日のロシアは、絶大な権力を有する指導者が治める、反ユートピア的国家像を提供している。ここでは都市の自由主義者は閉じ込められ、中間層は大富豪と多数の下層階級の間の限られた人々であり、「愛国主義の」メディアは四六時中、恐怖や憎しみを撒き散らしている。

偶然にも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3期目に出馬した時のスローガンのひとつは「ともに偉大なロシアへ」であった。

Lucian Kim/1996年よりドイツ、東ヨーロッパ、旧ソ連から報道しているジャーナリスト。コソボやアフガニスタン、ジョージア、ウクライナの紛争を取り上げてきた。当記事の主張はKim氏個人のものである

 

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