ドイツでも蔓延する「トランプ現象」の正体 貧富の格差が、国家を分裂へと導いている

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ヨーロッパには、アメリカの洗練されていない資本主義や、アメリカが輩出する自慢ばかりする人々を嘲笑う長年の習慣がある。しかし、特にドイツ人は自分たちの社会はかつて信じていたほど公平でなく、大衆主義者の戯言の影響を受けないわけでもないことに気付き始めている。

第二次世界大戦以降、西ドイツはひとつには共産主義の東ドイツに対抗するため、またひとつにはアドルフ・ヒトラーの台頭を招いたある種の過激主義に対する防壁をつくるため、その有名な社会福祉体制を構築した。「合意」こそが、ドイツ流の政治の代名詞になった。

ワーキングプアの出現

東ヨーロッパの共産主義が崩壊し、1990年にドイツが統一されると、西ドイツの成功モデルがそのまま国の東半分に移されるものと思われていた。しかし、ドイツ経済はグローバル化が進む経済の中で苦戦していたため、メルケル首相の前任者であるゲアハルト・シュレーダー氏は、国の競争力を高めるための抜本的な改革の一環として社会福祉を大幅に削減せざるをえなかった。

失業率は低下し、ワーキングプアが出現した。旧東ドイツの大部分は西に追い付くことができず、民主主義の約束に裏切られたと感じ、憤った下層階級が形成された。

調査によると、今のドイツは多くの人が思うより遥かにアメリカに類似している。所得格差を測るいわゆるジニ係数はドイツでは76であり、ユーロ地域全体の69に比べてアメリカの80に近い。

モルガン・スタンレーが作成した先進国20カ国のランキングにおいてドイツは6番目に不平等で、これは5番目のアメリカのすぐ次の位置だ。ちなみに1位から4位は、スペイン、ギリシャ、イタリア、ポルトガルである。

ドイツ経済研究所のマルセル・フラッシャー所長は、ドイツの所得格差についてだけでなく、社会移動に対する体制の障壁についても懸念を示している。「上位10%は問題視していない」とフラッシャー所長は「ディー・ツァイト」新聞に語った。「下位40%が取り残されているのが問題である」。

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