遅延も常態化、ドイツの鉄道が直面した異変

高い鉄道技術を誇る国で何が起きているのか

事故のあったBOB社と同じ、フランス系トランスデヴの子会社のバイエルン地域鉄道(BRB)のローカル列車(右の2本)
鉄道技術において信頼性を誇るはずのドイツでは過去十数年の間に、大きな鉄道事故が何度か発生しており、重傷者を伴わない軽微なものも多発している。遅延も常態化し、その信頼性は大きく揺らいでいると言っていい。背景にはいったい何があるのだろうか。

 

2月9日午前6時47分頃、ミュンヘンの南東に位置するバート・アイブリンク付近の単線区間で、近郊列車同士が正面衝突する事故が発生、双方の列車の乗客約150人のうち、運転士を含む11人が死亡、負傷者85人のうち61人が重傷という大惨事となった。

列車はそれぞれ、ミュンヘン発ローゼンハイム行き(西行き)と、ローゼンハイム発ホルツキルヒェン行き(東行き)のローカル列車で、ダイヤ上では、現場から東へ約3キロ離れたコルバーモール駅ですれ違う予定だったが、西行きの列車が約4分遅れていたこと、また東行きの列車が西行きの到着を待たずに発車したことで、今回の事故が発生した。

双方の列車は、およそ100km/hのスピードが出ていたとされ、2人の運転士も衝突をまったく予期していなかったことから、ブレーキをかける間もなく、相対速度約200km/hで激突し大破したとされる。視察したドブリント運輸相は、現場の惨状を目の当たりにし「恐ろしい光景だった」とコメントを残している。

なぜ緊急停止しなかったのか

両列車はいずれも、民間の運行会社バイエルンオーバーラント鉄道(BOB)のブランド「メリディアン」によって運行されていた。バイエルンオーバーラント鉄道は、フランスの交通企業体トランスデヴの子会社で、オープンアクセスによりドイツ国内の公共交通機関へ参入を果たした。ドイツ国内には、オープンアクセス以降、このような民間企業によるローカル列車が多数運行されている。

ドイツ検察当局は2月16日、今回の事故の原因は、信号係の操作ミスによるものであると発表した。しかし一方で、なぜ赤信号を冒進したにもかかわらず、自動列車停止装置が作動しなかったのかという疑問がまだ残っており、引き続き車両に搭載されたブラックボックスの解析を進めている。

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