遅延も常態化、ドイツの鉄道が直面した異変 高い鉄道技術を誇る国で何が起きているのか

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事故の多くは、ヒューマンエラーによる単純なもので、たとえばブリュール駅の事故は、伝達ミスが事故原因となっており、今回のバート・アイブリンクでの事故も、現時点では信号係のミスと発表されている。エシェデのICE事故は、事故車両となったICE1型の乗り心地を改善する際、低コストで効果が得られる弾性車輪が採用されたことが事故へと繋がっており、正しい対策を行なっていれば防ぐことができた、判断ミスが招いた事故と言えるのかもしれない。

もっとも、こうした事故はドイツに限った話ではなく、今回の事故を引き合いに出して、ドイツだけを批判することはできない。ほかのヨーロッパ諸国ではもちろん、日本でも事故が発生することがあるのはご存知のとおりで、アジアやアメリカなど世界全体で見れば、ドイツだけが突出して事故が多発しているわけではない。

ドイツ人は勤勉で、技術的水準も高い先進国であると認識されているからこそ、こうした事故が発生すれば、それだけ大々的に報じられることは、ある意味日本と似た状況と言えるだろう。

「時間に正確」というイメージが崩れつつある

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30分の遅延を知らせる掲示板。最近のドイツでは遅延が常態化している

また、ドイツ国内で近年悪化の一途をたどっているのが列車の遅延だ。この数年、ドイツ鉄道の遅延の多さは目に余るものがあり、これまでの「勤勉なドイツ人は時間にも正確」というイメージが崩れつつある。

少なくとも、列車の遅延が当たり前のように言われてきたイタリアやスペインと比べれば、ドイツはヨーロッパ諸国の中では定時性に優れる国の一つであったが、今ではそのイタリアより遅延が目立っているのでは、と言わざるをえない。今回の事故も、東行きの列車が約4分遅れていたことで、定時で到着した西行き列車が東行きの到着を待たずに発車したことが原因の一つとなっている。

なぜ遅延が発生するのか。ドイツの鉄道では、たとえば2つの列車がターミナル駅でスムーズに接続できるよう、時間や発着するホームまで考慮された精密なダイヤが組まれているが、どこかでわずかな列車の遅延が発生すると、それがダイヤの先々にまで影響を及ぼし、遅延が次々と広がっていくことになる。

運行に支障が出るほどの精密なダイヤを組んでいては、遅延が多発するのは当たり前で、同じように余裕時分がほとんどないダイヤが原因で発生してしまった、尼崎の脱線事故を思い起こさせる。

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