遅延も常態化、ドイツの鉄道が直面した異変 高い鉄道技術を誇る国で何が起きているのか

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弾性車輪が使用されていたICE1型車両。現在は通常の車輪へ戻されている

同路線には、PZB90と称する信号システムが設置されており、日本国内で一般的に知られている自動列車停止装置ATSと同様の働きをする、すなわち赤信号を通過した際には、緊急停止する安全装置が備えられていた。

この信号システムのベースは、戦前より使用されている古いもので、初期のものは赤信号を冒進すれば警報を鳴らし、急ブレーキをかける単純な仕組みであったが、PZB90はコンピュータ制御により高度な速度照査を行なうもので、1990年代に入って改良された新型だ。警察は、まずこのPZB90の不具合を疑い、重点的に調べを進めたものの、すでに装置に故障や欠陥はなかったことが判明している。

一方で、PZB90は運転士が手動で解除することが可能となっていることから、何らかの理由で解除した上で運転していたという可能性も指摘されている。

いずれにせよ、ブラックボックス解析の結果次第で、運行会社か、線路を管理するインフラ会社のどちらに責任の所在があったかが決まるだろう。

過去には高速列車の事故も

非常に残念なことに、ドイツでは過去十数年の間に、このような大きな事故が何度か発生しており、重傷者を伴わない軽微なものを含めれば、もう少し高い頻度で発生している。

なかでも特に衝撃的だったのが、101人の死者を出した、1998年6月にドイツ北部エシェデで発生したICEの脱線事故だろう。当時、ICEの初代車両であるICE1型の客車に採用されていた弾性車輪が、金属疲労によって走行中に破損したことが原因だった。

弾性車輪とは、走行時の騒音や振動を吸収するために、車軸と外輪の間に防振ゴムを挟み込み、騒音や振動を吸収させる仕組みだが、250km/h以上の高速で長距離の走行を重ねたことで金属疲労が早まり、外輪が破断してしまった。現在はすべて、通常の一体圧延車輪に交換されている。

2000年2月には、ケルン近郊ブリュール駅を通過中だったアムステルダム発バーゼル行きの夜行急行列車が駅構内で脱線転覆、11人が死亡し、149人が負傷する惨事となった。事故は、現場付近で行なわれていた線路工事の情報を運転士が正しく理解していなかったこと、また標識が誤解を招きやすい表示だったことで、工事区間を通過後に速度制限が解除されていると運転士が誤解し、40km/hの速度制限がある駅構内へ、信号に従って120km/h以上まで加速させたことが原因だった。

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