トランプの「お手本」、実はベネズエラにいた やり口は故チャベス大統領とうり二つだ
[3月31日 (ロイター)]-ベネズエラの田舎町の落下傘兵と、ニューヨークの不動産王の共通点は何だろうか?
ウゴ・チャベスとドナルド・トランプは、いずれも自身が国を立て直すことができる唯一の指導者だと考えている、影響力の強い人物である。
彼らは政治的な正当性をあえて用いず、礼節をわきまえない即興のスタイルで発言し、自分が周囲から相手にされていないと感じている有権者に直接訴えかけるのが常である。ベネズエラのこれまで17年間にわたるチャベス派政権のなれの果ては、米国にとって警鐘となり得るものだ。
ポビュリスト共通の手法
政治学者が「ポビュリスト(大衆迎合主義者)」と呼ぶ者たちは、「われわれと彼ら」を、善悪という道徳的基準で分けたがる。チャベスがかつてベネズエラで強く訴え、バーニー・サンダースがウォール街を批判する際によく使う主張は、「善い」人々に対して「悪い」エリートが陰謀を企てているというものだ。
これはまた、メキシコ人の米国流入を防ぐ巨大な壁を作ろう、とトランプが主張したように、市民を外国人と敵対させるものにもなり得る。
ポビュリストは選挙戦略として、政治や社会を分裂させるようなレトリックを用いる。不安を抱く有権者の恐怖や怒りを煽り立て、自分の支持に回る人を増やそうとするのだ。ポピュリストがライバルに排除すべき敵だとのレッテルを貼ると、熱狂的な支持者は、暴力に訴えるお墨付きを得たと思い込む可能性がある。
チャベスとトランプはいずれも、注目を引くレトリックを好んで使い、公的機関や法律をあからさまに無視する。チャベスは1998年、不況の中でアウトサイダーから大統領に選出された。
ベネズエラでは中間層の減少に伴い、1970〜90年代にかけて貧困率が25%から65%へと上昇。この深刻な社会の混乱により、1960年代以降に政権を担ってきた2大政党制への批判が強まったのだ。