島崎氏の問題提起は、6月24日発売の岩波書店『科学』(7月号)に掲載される論文に詳しい。
そこで島崎氏は国土交通省が2014年9月に策定した『日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書』が日本海「最大クラス」の津波を過小評価しており、「津波の対策がこのまま進めば、再び『想定外』の被害を生ずるのではないだろうか。2002年の津波地震の予測を中央防災会議や東京電力が無視し、『想定外』の災害を起こしたことを忘れてはならない」と警鐘を鳴らしている。
「想定外」が繰り返されるのか
島崎氏は、規制委委員長代理を退任した後、日本海側での津波予測について研究を重ねてきた。さらに熊本地震での現地調査を経て、「入倉・三宅式」を横ずれ断層に用いることによる弊害について、確信を持つようになったという。
島崎氏が「過小評価の可能性が高い」として問題にしている日本海最大の活断層は、大飯原発の基準地震動設定の際にも検証の対象となったことから、学会での報告内容を知った原告の弁護士から求められて陳述書を書いたと島崎氏は舞台裏を明らかにしている。
規制委との意見交換では「入倉・三宅式は適用範囲を頭の隅に置きながら(審査を進めてほしい)ということか」との質問が原子力規制庁の幹部から出たが、島崎氏は「(同式に欠陥があることは)頭の隅ではなく、真ん中に置いてほしい」と釘を刺した。田中委員長からの「(安全上余裕度を持たせている)原発よりも建築基準や高層ビルなどのほうがどうなっているか(気になる)」の問いにも、「(入倉・三宅式が)原子力(発電所の基準地震動設定)でも引き続き使われる可能性がある(ことが問題だ)」と警告した。
「想定外を繰り返してはならぬ」との地震学の専門家による問題提起を、田中委員長ら規制委は20日の会合でどう判断するか。国民を原発事故から守る最後の砦としての責任が問われている。
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