福島第一「凍土壁」は、遮水効果に疑問がある 東電、鳴り物入りの汚染水対策が難航

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陸側遮水壁の冷却材充填作業(東京電力ホールディングス提供)

東京電力ホールディングス・福島第一原子力発電所の汚染水抑制対策が思うような効果を発揮していない問題で、同社は6月2日、新たな工法を導入することを決めた。

この日、原子力規制委員会の検討会合で、東電は「凍土工法」を用いても凍らなかった土壌の凍結対策として、セメント系の材料を新たに注入すると説明。規制委から「やむを得ない」として了承を得た。6月6日から工事を開始し、今月中に完了させる。

これにより、目の粗い石が多いために地下水の通り道になっていると見られる地中箇所の凍結を確実にしたい考えだ。新たな工事は凍土壁工事の一環として行われ、総額345億円が用意された国の研究開発予算の一部を用いる。

凍結後も地下水流入量に変化なし

東電が福島第一原発の原子炉建屋の周囲約1.5キロメートルにわたって構築した「陸側遮水壁」は通称、「凍土壁」と呼ばれる。地下約30メートルの深さまで埋設した約1500本の配管に零下30度の冷却材を流し込むことで、周辺の土を凍らせる。これによって、建屋内への地下水の流入を抑制し、溶け落ちた燃料に接触することによって発生する放射能汚染水の抜本的な削減を見込んでいる。

だが、凍土壁は3月31日に原子炉建屋の海側全面および山側の一部が稼働して2カ月が経過したにもかかわらず、「現在のところ、地下水流入量を減らす効果が出ているとはいえない」(川村信一・福島第一原発広報担当)状態だ。このところ降雨量が多いこともあり、地下水の流入は1日当たり200立法メートル程度の高水準が続いており、「凍結開始後も大きな変化はない」(東電)という。

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