シャープの命運は銀行に握られた 財務内容から今後のシナリオを探る

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今回は、急激な業績悪化により経営不振に陥ったシャープの財務内容を分析します。シャープは黒字転換に向けて、大規模なリストラや海外メーカーとの資本業務提携などを進めていますが、果たして再建は可能なのでしょうか。今回は、財務諸表を見ながら、シャープが経営悪化に至った道筋や、先行きを見極めるために注目すべきポイントなどについてお話ししていきます。

売上高が急減、このままでは債務超過に陥る可能性も

シャープはどのような経緯で経営が悪化していったのでしょうか。最も分かりやすいのは、損益計算書にある「売上高」の推移を見ることです。平成23年3月期の売上高は3兆219億円ありましたが、平成24年3月期には2兆4558億円と約20%も減少しました。

もう少し詳しく見ますと、その間、原価以外の費用を表す「販売費及び一般管理費」はほとんど変わっていませんから、「営業利益(売上高から経費を引いたもの)」は平成23年3月期に辛うじて788億円の黒字だったのが、平成24年3月期には375億円の赤字となりました。一時的な費用などを加味した同年同期の「当期純損失」もマイナス3760億円と大幅に悪化しています。

この影響はバランスシート(貸借対照表)にも表れています。その前に、バランスシートについて少し復習しますが、これは左側に資産の部、右側に負債の部と純資産の部に分かれています。資産(=左側)を賄うための資金を負債と純資産(=右側)で調達していると考えてください。

負債は将来のどこかの時点で返済しなければならない資金の調達源で、純資産は返済不要なものです。ですから、利益は返済不要な調達源ですから、利益が増えれば純資産(利益剰余金)が増えますし、借り入れを増やせば、負債が増えるのです。

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