巨額赤字パナの危機感 シャープ楽観の理由

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危険水域の“日の丸電機”に、パナソニックも名を連ねた。

10月31日、パナソニックが発表した2013年3月期中間決算(4~9月)は6851億円の最終赤字だった。通期予想を最終赤字7650億円に下方修正し、自己資本比率は20%まで低下した。配当は、1950年5月期来の無配とする。

「当社は今、普通の会社ではない」「家電中心、日本中心という“事業立地”が劣化している」──。決算会見の場で、今年6月に就任したパナソニックの津賀一宏社長は、強い危機感をにじませた。

太陽電池、リチウムイオン電池、携帯電話の3事業について「将来の事業拡大による回収が困難」(津賀社長)と判断し、のれんや無形固定資産3555億円を減損処理した。将来の税負担軽減を見込んで計上していた繰延税金資産4125億円も、取り崩しを余儀なくされた。

危機強調し過去と決別

決算発表翌日から、パナソニック株は見切り売りが続いた。11月6日には1975年以来の最安値となる376円をつけた。企業の信用リスクを表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は400ベーシスポイントを突破。約4000ベーシスポイントのシャープとは差があるとはいえ、大手電機で2番目に悪い水準まで上昇した。

一方、「6月末の津賀体制始動からわずか4カ月間で、不採算事業に見切りをつけたのは英断だ」(市場関係者)と評価の声も上がる。今回減損に踏み切った3事業については、大坪文雄前社長時代から見通しの甘さが指摘されてきた。会見での厳しい発言も併せると、過去のしがらみと決別し、大胆な改革に踏み出す期待も持てる。

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