日銀引受けは円安とインフレの悪循環を招く 「安倍新政権」の真意を問う

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日銀引受けによるインフレは経験済み

日銀引受けによる道路建設を続けると何が起きるか。もちろん、どの程度行うかによる。「無制限に」拡大すれば、まず建設労働者の賃金が上昇する。そして、賃金一般に及ぶ。建設資材や建設用機械などの需要が増え、生産が拡大する。フル稼働になれば、価格が上昇する。

こうした過程は、日本経済がすでに経験済みのものだ。1946年12月、第1次吉田内閣は、傾斜生産方式を決定した。これは、復興金融金庫が発行する債券を日銀が引受け、その資金で基幹産業に融資を行うものである。復金債は国債と同じようなものなので、これは日銀引受け国債による財政支出増と同じような効果を発揮した。

それを消費者物価の推移でみたのが図である。決定直後から物価上昇が始まり、46年11月から49年5月の間に、5・8倍になった。物価が上昇すれば実質所得は低下する。この時賃金も上昇したので、実質労働所得の低下は抑えられたが、名目値で決められている資産所得の実質価値は、約6分の1になった。

なお、当時、為替は固定レートで、輸入について厳しい制限がなされていた。いま同じことを行えば、輸入が増え、円安になるだろう。

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