小沢一郎氏は「美人計」を利用した!? 兵法三十六計で占う衆議院総選挙(下)

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さて、話を元に戻すが、この「併戦計」はもともと、同盟国間で優位に立つために用いる策謀である。党勢は安定しており大きな変化や改革のない公明党、社民党、共産党の参謀本部に併戦計を理解実行してもらいたい。

1)梁偸換柱(とうりょうかんちゅう)

梁に使うような太さの木材を誤って柱に使えば倒れることから、敵の重臣を無能な人材に替えるように仕向けることだ。

敵の布陣の強力な部分の相手を他者に押し付け、自軍の相対的立場を優位にする戦術である。例えば同じ左派の中に権力闘争が激化した場合には、弱者に塩を送るケースである。別の見方をすれば「目くそ、鼻くそ」の戦術だが、今回のような膠着状態から一歩抜け出すためには有効な結果が見られるものだ。

自民党の凋落は、毎年変わってきた過去の総裁人事を見れば納得できる。「民主党」の凋落も同じことで、鳩山由紀夫から菅直人、そして野田佳彦という各氏へのバトンタッチは誰かの「梁偸換柱」の策略にも思えてくる。

2)指桑罵槐(しそうばかい)

これは有名な中国の戦術で、良く聞かれた人もいると思う。「桑を指してエンジュ(槐)を罵る」という中国の権力闘争では年中行事で行われている古典的手法である。

中国人の世界では「強者が弱者を屈服させるときに警告する方法」としては常識である。また、権力者に真っ向勝負せずに、本来の相手ではない別の相手を批判し、間接的に権力を揺さぶる場合もある。

組織力と経済力のある伝統のある政党でも内部闘争は日常茶飯だろうが、第三極の政党で「指桑罵槐」が蔓延してくるとまだまだ混乱は続くと判断せねばなるまい。リーダーシップが機能するような制度を考えない限り、ねじれ構造では日本の政治は持たないと思わざるを得ない。

戦後の名宰相の共通点は?

3)仮痴不癲(かちふてん)

これは愚か者のふりをして相手を油断させ、時期の到来を待つという意味だ。
「鄧小平語録」の有名な「韜光養晦」とも似た発想である。
三国時代、劉備玄徳が曹操の前で暗愚を装い上手く逃げられたことから「能ある鷹は爪隠す」と同じ使い方をするが、仮痴不癲の計も同様に野心を隠して、暗愚をよそおって相手を油断させる計略である。

吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘の各氏はいずれも戦後政治をリードした名宰相である。いずれの人物も才気煥発タイプではなく、どこか稚気溢れたところがあった。

過去、7年間連続で交代を余儀なくされた首相たちは小ぶりになったのだろうか?

余計な話だが米国留学をしていた女子社員から聞いたところ、アメリカ人たちは日本の首相の名前が覚えられないので、知名度の高かった小泉純一郎元首相の前の六代の首相は西暦のように、「BC小泉」、後の六代は「AD小泉」と呼ばれていたらしい。

4)上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)
「猿もおだてりゃ木に登る」という、政治家も屋根に上らせて梯子を外せば下りたくとも下りられない。飛び降りれば怪我をする。すなわち敵の自縄自縛を促しそれに乗じる計略である。

敵に実力以上の行動をさせることが要点で、敵を利益で操り「梯子」に乗りやすい情況を作ることが肝。党首などに祭り上げられると、周りはイエスマンばかりになって都合の良い情報しか入ってこなくなる。

気がついたら「裸の王様」になるように仕向けるのが「上屋抽梯」。さて、自民党、民主党、日本維新の会、日本未来の党、公明党、みんなの党のトップで「梯子を外されやすいタイプ」は誰なのだろうか?

5)樹上開花(じゅじょうかいか)
小兵力を大兵力に見せかけて敵を欺く。欺瞞的で狡猾な手段を借用し、大仰に騒ぎ立て、弱小な兵力を強大に見せかけ、敵軍を震撼させる作戦である。

そういえば、現有議員数の割に全国レベルで候補者を擁立している政党の戦術に期待して、長年変化の見られない公明党、社民党、共産党の樹上開花のサプライズが見てみたいものだ。

6)反客為主(はんかくいしゅ)
一旦、敵の配下に従属しておき、内から乗っ取りをかける戦術である。反客為主すなわち、「反って客が主に為る」とは、機に乗じて敵軍を吸収し、客軍を変じて主軍に転ずる作戦であり、受動から主動に転じて、戦争の主導権を勝ち取るという訳である。

この計略は同盟軍や友軍がいる場合の主導権のとり方の計略となるので、維新の会に合流した太陽の党(立ちあがれ日本含む)のメンバーや、嘉田由紀子党首の「日本未来の党」に合流した小沢一郎氏や亀井静香氏や河村たかし氏の活躍を見てみたい気がする。

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