判官びいきから勝ち馬側へ、変質する浮動層 行動経済で読む選挙

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今回は選挙直前ということで、少し趣向を変えて、金融市場ではなく、選挙市場を行動経済学的に読むことにしよう。

キーワードは浮動化

日本における選挙は、小泉純一郎氏が首相になって以降、大きく変わってきているが、変化の軸は2つである。投票する人々の属性が変わったことと、同じ属性の人々でも行動が変わってきたことである。

人口構成の変化と同じ人々の行動変化の二つの軸ということだが、これは、どんな集団行動の分析においても基本となる二つの軸である。ただし、ここでは、属性の変化の中に、同じ人々でもタイプが変化する場合も含む。

その属性(あるいはタイプ)の変化とは、「浮動化」である。浮動票は昔から存在したが、決定的なのは、浮動票が「浮動層」として固定化したことである。一般には無党派層と呼ばれるが、彼らは政治の実体とはほとんど無関係であるがゆえに、政治の流れを決定付けるという特性を持つようになった。

浮動層が生まれた要因は、「政治の終わり」という時代がやってきたからである。日本ではバブル崩壊の1990年代半ばから始まり、21世紀になり決定的となった。なぜなら、高齢化などにより、財政は逼迫し、借金も膨らんだことから、財政政策の余地がなくなった。

政治の主要な経済的機能は、所得再配分だから、配分するものがなくなれば、出番はなくなる。さらに、経済が複雑化したため、ヴィジョンや方向性を示すこともできなくなった。

また、グローバル化により、企業と国家の利害が常に一致するわけではなくなると、個々の働き手と国家の利害もそれに応じて乖離することとなった。したがって、多くのエリートサラリーマンは政治に対する関心を失っていったのである。

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